公開日:2022.01.28 最終更新日:2022.10.17
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契約書、覚書、念書の違いとは?法的効力は?|弁護士が解説

【本記事の監修】 福岡の弁護士 弁護士法人桑原法律事務所 弁護士 桑原貴洋 (代表/福岡オフィス所長)
- 保有資格: 弁護士・MBA(経営学修士)・税理士・家族信託専門士
- 略歴: 1998年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。
日本弁護士連合会 理事、九州弁護士会連合会 理事、佐賀県弁護士会 会長などを歴任。
目次CONTENTS
取引先との約束や合意した内容について書面を取り交わす際、表題で迷われたことはありませんか?よく用いられる「契約書」「念書」「覚書」の違いについて、企業法務に強い福岡・佐賀の弁護士法人 桑原法律事務所の弁護士が解説します。
広辞苑では、
- 契約書: 契約の成立を証明する書面
- 念書: 後日の証拠として念のため書いて相手に渡しておく書面
- 覚書: 忘れないように書いておく文書
と説明されています。
裁判や実務上では、どのような違いがあるのでしょうか。
契約書とは:双方の合意を記載
「契約書」は、今後、一定の法律関係が生じることを前提に、当事者間で争いのない事項(合意・約束する事項)を明確にするための書類、と定義づけられます。
まさに契約の内容そのものの証明となります。
「契約」という法律行為の性質上、契約書には当事者双方が署名押印を行います。
「XがYに100万円を貸して、Yが月10万円ずつ返済する」という合意内容を文書化するのであれば「契約書」が適切です。
銀行口座や賃貸アパート、自動車ローンなど、だれでも「●●契約書」という書面にふれていると思います。日々さまざまな契約書を取り交わしますが、1項目ずつ読み込んで署名・捺印される方はほとんどいないのではないでしょうか。
不利な条項があって「そんな条項は読んでいない」と訴えても、署名・捺印した以上、裁判では原則として負けてしまいます。
作成する側も「インターネットのひな型から抜き出して作った」「他社の契約書をマネた」というケースがみられます。企業経営者の方は自社の契約書を見直し、他社の契約書に署名・捺印する場合にも、まずは弁護士にチェックしてもらいましょう。
覚書とは:契約に不随する事項の合意を記載
「覚書(おぼえがき)」とは一般的に、契約全体が合意する前の段階や、契約に付随する事項の合意内容を記載する書面として用いられます。
必ずしも法律行為を内容としませんが、合意があったことを証明する効力はあります。合意を要しますので、当事者双方が署名押印を行います。
「XがXとYで行う事業の資金100万円を貸す前提として、XとYが事業へのかかわり方に関する取り決め」をするのであれば「覚書」が適切でしょう。
念書とは:一方が相手にした約束を記載
「念書(ねんしょ)」は一般的に、当事者の一方が約束した内容を記載して、もう一方に渡す想定の文書です。
一方の意思しか記載されていませんが、記載の約束があったことを証明する効果があるのは覚書と同様です。
「念書(ねんしょ)」は当事者の一方のみが署名押印することが多いです。
「XがYに貸した100万円について、Yの返済が滞っている場合、Yが<月5万円ずつ返していく>と約束する」という場合、念書が使われることがあります。
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