公開日:2018.09.25
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民法改正を知ろう|消滅時効、法定利率、保証、契約の解除

【本記事の監修】 福岡の弁護士 弁護士法人桑原法律事務所 弁護士 桑原貴洋 (代表/福岡オフィス所長)
- 保有資格: 弁護士・MBA(経営学修士)・税理士・家族信託専門士
- 略歴: 1998年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。
日本弁護士連合会 理事、九州弁護士会連合会 理事、佐賀県弁護士会 会長などを歴任。
目次CONTENTS
改正民法の施行日は2020年4月1日です。今後の事業活動に支障が生じないか、一度、改正内容を確認しましょう。
今回の改正点は非常に多いため、一部について簡潔にご紹介します。
① 消滅時効
短期消滅時効が廃止され、「知った時から5年」「権利を行使することができる時から10年」に統一されました。
② 法定利率
現行の5%から3%に引き下げたうえで、市中の金利動向に合わせて変動する制度が導入されました。
③ 保証
事業用の融資の保証契約について、公証人があらかじめ保証人の意思を確認しなければ効力を生じないこととされました。
④契約の解除
まず、これまでの民法は、履行不能解除(現543条)につき、債務者に帰責事由がない場合には、解除はできないと定めていました。
現543条
履行の全部又は一部が不能となったときは、債権者は、契約の解除をすることができる。ただし、その債務の不履行が債務者の責に帰することができない事由によるものであるときは、この限りではない。
もっとも、債務者の責に帰することができない事由による場合(予想外の事故で目的物が消失した場合など)にも解除が認められないのは不当であると考えられます。そこで、改正法は、債務不履行による解除一般について、債務者の責に帰することができない事由によるものであっても解除ができるとしました(新541、542条)。
新541条 (催告による解除)
当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない新542条 (催告によらない解除)
次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。
一 債務の全部の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。
四 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき。
五 前各号に掲げる場合のほか、債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。
2 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の一部の解除をすることができる。
一 債務の一部の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
また、不履行が債権者の責に帰すべき事由による場合には、解除を認めるのは不公平であることから、解除はできないものとしました。
新543条 (債権者の責めに帰すべき事由による場合)
債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは、債権者は、前二条の規定による契約の解除をすることができない。
さいごに
このように民法が改正されましたので、企業の皆様におかれましては、改正の内容が現在使用している契約書に抵触しないか、確認する必要があるでしょう。
その他、債権譲渡、約款に関する規定の創設、売主の瑕疵担保責任、連帯債務、相殺禁止、請負契約等々の改正が行われましたので、今後の事業活動に問題が生じないよう、気になる点はお早めに、弁護士にご相談ください。
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