公開日:2016.12.05
- 法律コラム
- 労働問題(企業側)
- 労働問題(労働者側)
従業員の勤務中・休憩中のスマホ使用を禁止できる?|弁護士が解説
【本記事の監修】 弁護士法人桑原法律事務所 弁護士 桑原貴洋 (代表/福岡オフィス所長)
- 保有資格: 弁護士・MBA(経営学修士)・税理士・家族信託専門士
- 略歴: 1998年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。
日本弁護士連合会 理事、九州弁護士会連合会 理事、佐賀県弁護士会 会長などを歴任。
目次CONTENTS
スマートフォンの携帯ゲームアプリが普及し、いつでもどこでもゲームをすることが可能になっています。従業員が労働時間に、暇を見つけてはスマホゲームをしているといった場合、雇用主の立場から、使用を禁止することはできるのでしょうか。桑原法律事務所の弁護士が解説いたします。
以下では、労働時間中(勤務時間中)と休憩中・通勤中にわけて解説いたします。携帯ゲームに関して回答していますが、仕事中のパソコン等の私的ネットサーフィンなどにも応用できる話です。
労働時間中の私的なスマホ使用禁止:適法
労働者は労働契約上、労働時間中には職務に専念する義務を負っています。したがって、使用者が、労働時間中のゲームをしないように禁止することは、当然ながら適法です。
たとえ移動時間中であっても、休憩時間でない限りは労働時間内ですから、私的ゲームをしないよう禁止できます。
具体的に、まずは上司などの事実上の注意指導から入ると思いますが、注意指導によっても携帯ゲーム利用が改善されない場合、使用者として禁止命令を発することもできます。
また、勤務態度の点などで人事考課にも考慮して構いません。
注意指導や禁止命令によっても改善しなければ、懲戒(戒告[始末書]、減給、出勤停止、解雇など)も考えられますが、一般に、いきなりそれだけで減給などというレベルの問題とは言えないでしょう。
休憩中や通勤中の私的なスマホ使用:禁止できない
通勤中は、労働時間ではありませんので、自由に過ごすことができます。また、休憩中についても、労働基準法上、「使用者は、・・・休憩時間を自由に利用させなければならない」と定められています(労働基準法34条3項)。よって、休憩中も、労働者は自由に過ごすことができます。
つまり、通勤中・休憩中は、基本的に労働者がゲームをするのも自由であり、使用者の立場から禁止することは許されないことになります。
しかし、そのゲーム利用の内容や程度、態様等によっては、やはり職場内への影響を考えざるをえない使用者もあるかと思います。
休憩中であっても、周囲の職務に悪影響を与えているようであれば、注意指導を行うことや、人事考課の考慮要素とすることなどは、十分適法にあり得るでしょう。
また、通勤中に関しては、昨今のニュースにも数多くの悲惨な事故が取り上げられているように、運転中のスマホはもちろん、歩きスマホも大変危険な行為であることは疑いようもありません。その危険性から、車や徒歩での通勤中の携帯ゲームをやめるよう、社内で自制を呼びかけたり促したりすることは、使用者としても適法に許される行為と言えます。
労働問題のお悩みは弁護士法人桑原法律事務所へ
以上は、一般論としての話となります。
最善の対応策は詳細な事情によりますので、お困りの際には、当事務所の弁護士にお気軽にご相談ください。
「医療・介護」「飲食・ホテル」「小売・店舗」「保育園」「タクシー」「士業」「不動産」「コンサルタント」「人材サービス」「フィットネス」など30名以下のサービス業に特化した顧問弁護士サービス 月額11,000円でお試し可能!詳しくはこちらをご覧ください > |
※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。