公開日:2019.02.14 最終更新日:2022.08.25
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実刑判決と執行猶予判決|弁護士が解説
【本記事の監修】 弁護士法人桑原法律事務所 弁護士 桑原貴洋 (代表/福岡オフィス所長)
- 保有資格: 弁護士・MBA(経営学修士)・税理士・家族信託専門士
- 略歴: 1998年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。
日本弁護士連合会 理事、九州弁護士会連合会 理事、佐賀県弁護士会 会長などを歴任。
目次CONTENTS
実刑判決について|刑の種類
刑事裁判で有罪となった場合の刑の種類としては、死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留および科料があります。また、付加刑として、没収があります(刑法9条)。
これら以外は、刑の一種に類似するものであっても刑ではありません。
懲役、禁錮、拘留:自由刑
懲役、禁錮、拘留は、身体拘束を受ける刑(自由刑)のことをいいます。
- 懲役は、無期か、1月以上20年以下の身体拘束を受ける刑であり、規則的労働を強制されます。
- 禁錮は、期間については、懲役と同じですが、規則的労働を強制されません。
- 拘留は、1日以上30日未満の身体拘束を受ける刑であり、規則的労働を強制されません。
罰金、科料:財産刑
罰金、科料は、一定の金額の剥奪を目的とする刑(財産刑)のことをいいます。
罰金は1万円以上であり、科料は1000円以上1万円未満の金額と定められています。
以上が刑の内容ですが、刑法には、「執行猶予」というものも定められています。
執行猶予とは
執行猶予とは、法律で定められた要件を満たす者が、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、1年以上5年以下の期間、その執行を猶予することができるという制度です。上記の刑の宣告がされても直ちに刑に処されるのではなく、その執行が猶予されます。
そして、 執行猶予を取り消されることなく執行猶予の期間を経過したときは、刑の言い渡しはその効力を失います。
したがって、執行猶予がつかなければ、直ちに刑事施設に収容されたり、罰金を支払ったりしなければならなくなります。
懲役、禁錮について、執行猶予がつくかつかないかは、その後の生活に非常に大きな影響を与えるものですので、弁護人と十分に協議していただければと思います。
※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。