公開日:2019.02.15
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取調べとは|供述の強制はできる?
【本記事の監修】 福岡の弁護士 弁護士法人桑原法律事務所 弁護士 桑原貴洋 (代表/福岡オフィス所長)
- 保有資格: 弁護士・MBA(経営学修士)・税理士・家族信託専門士
- 略歴: 1998年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。
日本弁護士連合会 理事、九州弁護士会連合会 理事、佐賀県弁護士会 会長などを歴任。
目次CONTENTS
「取調べ」とは,捜査機関が被疑者に対して,事件について聴くことです。第三者に対する取調べもありますが,今回は,(身柄が拘束されていない)被疑者に限定して解説していきます。
取調べについての規定
取調べについては,刑事訴訟法198条に定めてあります。
刑事訴訟法198条
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。但し、被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。 |
取調べは任意処分:供述の強制はできない
被疑者は,身体を拘束されている場合を除いて,出頭を拒むことができます。また,出頭しても,いつでも退去できます。さらに,被疑者は,自己の意思に反して供述する必要はありません。このように,供述を強制することはできませんので,取調べは任意処分ということになります。
そして,被疑者の供述については調書に録取することができますが,この場合,調書を被疑者に閲覧させるか,読み聞かせて,誤りがないかどうかを確かめなければなりません。もし,誤りがあれば,被疑者に署名押印を求めることができず,また,誤りがなくても,署名押印を拒絶することができます。
仮に,取調べを強制的に行われ,署名押印も拒絶できないとすれば,虚偽の自白が生み出され,被疑者の人権が侵害されるおそれがあります。そこで,上記のように規定されているのです。
弁護人の活動:違法な取調べが行われたら
もっとも,上記のような規定に反する取調べが行われる可能性もあります。弁護人としては,違法な取調べが行われ,その取調べによって作成された調書があるような場合は,その調書には証拠能力がない等と主張して,公判で争うことになります。
※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。