MENU
お問合せ

CASES

法律コラム

公開日:2014.01.07

CASE

  • 労働問題(労働者側)
  • 残業代請求

テレワーク(在宅勤務)や外回り営業の残業代|事業場外みなし労働時間制とは

目次CONTENTS

昨今のコロナウイルスの影響により、テレワーク(在宅勤務)を導入されている企業が増えていると思います。

しかし、在宅勤務は、事業場内で働くという一般的な就労形態と異なり、労働者の勤務が私生活の場所である自宅で行われることから、労働者の労働時間の把握や健康管理が困難になるという問題があります。

在宅勤務であることを理由に残業代を支払わないという対応は適法なのでしょうか。桑原法律事務所の弁護士が解説いたします。

Q.テレワーク(在宅勤務)を理由に残業代を支払わないのは違法?

A. 事業場外みなし労働時間制の要件を満たさない場合は、所定労働時間を超えて働いた分の残業代を請求することが可能になります。以下で詳しく解説いたします。

労働法には、会社の外で働く労働者(外回りの営業、新聞記者、修理・保守での巡回など)について、使用者は実労働時間の把握をしなくてもよく、決められた時間を労働時間とみなす制度があります。

これを「事業場外労働のみなし労働時間制」といいます(労働基準法38条の2)。

在宅勤務の場合、「事業場外みなし労働時間制が適用され、残業代は支払わない」という主張がされることがよくあります。

しかし、事業場外みなし労働時間制が適用されるためには、以下の要件を満たす必要があります。

  1. 当該業務が起居寝食等私生活を営む自宅で行われること
  2. 使用者の指示により、情報通信機器が、常時通信可能な状態にしておくこととされていないこと
  3. 当該業務が、随時使用者の具体的な指示に基づいて行われていないこと

これらの要件を満たさない場合は、事業場外みなし労働時間制を適用しているという主張は困難となり、所定労働時間を超えて働いた分の残業代を請求することが可能になります。

外回りの残業代と「事業場外労働のみなし労働時間制」

Q. 私の会社の営業部の社員は朝、出社したら日中はずっと外回りをしています。
帰社・退社する時間はまちまちです。社員によっては夜、戻ってくる者もいます。外回りが忙しかったのだと思いますが、営業成績が振るわない社員などは「本当に外回りをしていたのか?」と疑ってしまいます。そのような従業員にも「出社から退社まで働いた」として残業代(割増賃金)を支払わないといけませんか?

A. 労働基準法は法定の労働時間(1日8時間、週40時間)を超える労働をした者に対し、一定額の割増賃金の支払いを求めています。労働時間は、例えば「出退勤の際にタイムカードを付けてもらう」などして管理します。

従業員が目の届く範囲で仕事をしていれば、使用者としても「出社から退社まで働いていた」と考えられると思いますが、質問のケースのように、営業など社外で仕事をする人、直行直帰で働く人などは、労働時間の管理・把握が難しい場合もありえます。

事業場外労働のみなし労働時間制を採用すると、労働時間は実働ではなく、8時間なら8時間と一定の時間でみなされます。質問のケースに採用すれば、企業側が労働時間を管理できる、残業代を抑えられるといったメリットが考えられます。

事業場外みなし労働時間制が適用されるためには、

  • 当該業務が起居寝食等私生活を営む自宅で行われること
  • 使用者の指示により、情報通信機器が、常時通信可能な状態にしておくこととされていないこと
  • 当該業務が、随時使用者の具体的な指示に基づいて行われていないこと

という要件を満たす必要があります。

GPSによる位置情報やスマートフォンの勤怠アプリなどが発達したいま、労働時間の把握は本当に難しいの?という見方もあります。このため使いづらい制度となりつつありますが、使用者側としては選択肢の一つとして知っておいてもよいでしょう。

残業代についてお悩みの方はご相談ください

在宅勤務の場合に残業代を請求できるか否かは、会社の業務体系や就業規則の定め等、ケースバイケースとなります。

残業代や就業規則の見直しなどにお悩みの方は、ぜひ弁護士にご相談ください。

参考文献:[改訂版]企業のための労働契約の法律相談/青林書院/[編]下井隆史 松下守男 渡邊徹 木村一成

企業法務ニュースレターのお申込みはこちら