公開日:2017.07.25 最終更新日:2021.10.28
- 法律コラム
- 企業法務
小説の一部を講演会で引用したら著作権侵害にあたる?
【本記事の監修】 福岡の弁護士 弁護士法人桑原法律事務所 弁護士 桑原貴洋 (代表/福岡オフィス所長)
- 保有資格: 弁護士・MBA(経営学修士)・税理士・家族信託専門士
- 略歴: 1998年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。
日本弁護士連合会 理事、九州弁護士会連合会 理事、佐賀県弁護士会 会長などを歴任。
目次CONTENTS
たとえば、「講演会である小説の文章の一部を引用する」場合、著作権を侵害しないのでしょうか。
今回は、著作権について検討してみます。まずは、著作権法と判例について見てみましょう。
公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
著作権法32条1項
判例について
適法な引用と認められる基準として、1. 明瞭区別性 と 2. 主従関係 の2点が挙げられています。
1. 明瞭区別性とは?
明瞭区別性とは、引用部分と自己の著作物とが明瞭に区別されることをいいます。
今回の場合は、「ある小説の一部分と社長の講演の内容とが明瞭に区別されること」です。
2. 主従関係とは?
主従関係とは、自己の著作物が主であり、引用部分が従でなければならないことをいいます。
今回の場合は、「ある小説の一部分が社長の講演内容よりも少ないこと」です。
その他にも、「公正な慣行に合致すること」、「引用の目的上正当な範囲内であること」などの要件がありますが、今回は割愛いたします。
著作権侵害にあたるかどうかを判断するのは容易ではない
著作権侵害にあたるのかどうかを判断するのは、そう容易なものではないことがお分かりいただけたかと思います。著作権侵害の場合、差止請求や損害賠償請求のほか、刑事罰を受ける可能性もあります。
ご不明な点がございましたら、どうかな?と思った時点で、当事務所の弁護士にお早めにご相談ください。
「医療・介護」「飲食・ホテル」「小売・店舗」「保育園」「タクシー」「士業」「不動産」「コンサルタント」「人材サービス」「フィットネス」など30名以下のサービス業に特化した顧問弁護士サービス 月額11,000円でお試し可能!詳しくはこちらをご覧ください > |
※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。