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法律コラム

公開日:2020.09.04

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取締役は第三者に対しどのような責任を負う?|直接損害と間接損害

目次CONTENTS

取締役が負う責任は、「会社に対する責任」と「第三者に対する責任」に分類されます。

取締役の第三者に対する責任は、会社法429条に規定されており、「1項の責任」と「2項の責任」があります。

取締役の会社に対する責任についてはこちら:任務懈怠責任とは?

会社法429条1項の責任とは:直接損害と間接損害

会社法

まず、会社法429条1項の責任ですが、取締役は、その職務を行うについて悪意または重大な過失があったときは、当該取締役は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負います(会社法429条1項)

例としては、「会社が倒産に瀕している時期に、取締役が、取引先から代金支払いの見込みのない商品を購入したことにより、取引先が代金を支払ってもらえない場合」などがあります。このような場合を、直接損害(取締役の任務懈怠行為によって第三者が直接損害を被る場合)といいます。

その他の例として、「取締役が、回収見込みがないのに他社に貸付けを行うなどして資金繰りが悪化した結果会社が倒産し、会社債権者が債権を回収できなくなる場合」などがあります。このような場合を、間接損害(取締役の任務懈怠によって会社が損害を被り、その結果、第三者も損害を被る場合)といいます。

なぜ直接損害と間接損害に分類されている?

このように損害が分類されているのは、直接損害の場合は会社の株主も「第三者」に含まれると解されているのに対し、間接損害の場合は、会社の株主は「第三者」に含まれないと解されているからです。

なお、このように解されるのは、間接損害の場合は、株主代表訴訟によって責任を追及すべきであり、そうでなければ、取締役は株主に対する責任と会社に対する責任という二重の責任を負う可能性があるというのが主たる理由です。

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会社法429条2項の責任とは

会社法429条2項の責任とは、【取締役は、株式の引受人を募集する際に通知しなければならない重要な事項についての虚偽の通知などをした場合、計算書類等の重要事項について虚偽の記載などをした場合、虚偽の登記・公告をした場合などに、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負うこと】を言います(会社法429条2項本文)

これは、直接損害(取締役の任務懈怠行為によって第三者が直接損害を被る場合)の一種です。

もっとも、当該取締役が、当該行為をすることについて注意を怠らなかったことを証明したときは、責任を負いません(同項ただし書き)

「1項の責任」と「2項の責任」の違い

  • 1項の責任:悪意重過失であり、第三者が当該取締役の任務懈怠を立証する必要がる。
  • 2項の責任:過失責任であり、当該取締役が自己に過失がないことを立証する必要がある。

取締役の業務執行は慎重な行動と予防が大切です

取締役の立場からみれば、2項は1項よりも責任追及されやすいことになります。これは、①情報開示の重要性、②虚偽の場合の危険性が大きいことから、厳格な規定となっていると考えます。

取締役が業務を執行する際は、会社以外の第三者に対しても責任を負いますので、慎重に行動するとともに事前に弁護士からのリーガルチェックを受けるなど、常に予防をしておくことを推奨いたします。

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※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。