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法律コラム

公開日:2020.09.04 最終更新日:2021.10.29

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辞職届は撤回できる?|「辞職の申出」と「労働契約の合意解約の申込み」

目次CONTENTS

辞職届を出した従業員が、後日「撤回したい」と言ってきたら、会社としてはどのように対応すればよいのでしょうか。以下のご相談を例に、桑原法律事務所の弁護士が解説いたします。

ご相談
先日、従業員Aが突然、社長の私に辞職届を提出し、「辞めさせてもらいます」と言ってきました。Aは問題行動の多い社員でしたので、私はAに翻意を促したりせず「ひとまず受理する」と言い、そのまま辞職届を受理しました。すると次の日、Aが「昨日のことは気の迷いだったのでなかったことにしてほしい。辞職届を返してほしい」と言ってきました。
私としては、このまま辞職の方向で進めていきたいのですが、Aの言い分は法的には通じるものなのでしょうか?

辞職願の意味と効果:辞職の申出が到達して以降は撤回できない

結論として、ご相談のケースでは、Aの言い分は法的には通じないとなるのではないかと思います。以下で詳しく解説します。

まず、辞職願の意味と効果には、2通りの考え方があります。

  1. 辞職の申出
    辞職の申出の場合は、労働者の一方的意思表示による労働契約の解約の申出です。労働者の一方的な意思表示により法的効果が発生するため、相手方に到達して以降は撤回ができません
  2. 労働契約の合意解約の申込み
    労働契約を任意に解約してほしいという労働者側からの申出であるため、相手方に到達して以降も、使用者が承諾するまでは撤回することができます

「辞職の申し出」か「労働契約の合意解約の申込み」か

次に、従業員Aの行動が、1. 辞職の申出、2. 労働契約の合意解約の申込みのどちらなのかを区別する必要があります。

ある裁判例では、辞職の意思表示が有する効果の重大性から、辞職の意思表示の認定は慎重に行うべきとしました。その上で、辞職の意思表示とは、使用者の態度如何にかかわらず確定的に雇用契約を終了させる旨の意思が客観的に明らかな意思表示としました(大阪地判平成10年7月17日)。

従業員Aの行動は「辞職の申出」と解される可能性が高い

本件の場合は、ケンカの延長線上で口が滑って辞職を申し出たというものではなく、前もって辞職届を準備し、しっかりと考えたうえで辞職を申し出ているように思います。

そのため、Aの辞職届の提出は、「辞職の申出」と解される可能性が高いでしょう。

そして、辞職届が社長のもとに到達している以上、これを撤回することはできないとなる可能性が高いでしょう。

結論としては、Aの言い分は法的には通じないとなるのではないかと思います。

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※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。