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案件別コラム

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  • 企業法務
  • 労働問題(企業側・使用者側)

退職時の有休消化について

目次CONTENTS

[ Q ]

先日,従業員Aが,「3月いっぱいで会社を辞めさせてほしい。最後の20日間については,残っている有給休暇20日分を全部使い,休みとしてほしい。」と言ってきました。代わりの人はすぐに見つかったので,3月いっぱいで辞めてもらう分には構わないのですが,3月は会社の繁忙期ですし,諸々の引継ぎもあるため,20日間も休んでしまわれるととても困ります。

[ A ]

有給休暇を取得する権利,いわゆる年休権は労働者の権利であり,労働者がこれを行使した場合,使用者は,労働者が指定する時季にあわせ有給休暇を与えなければなりません(労働基準法39条1項,同5項本文)。そのため,ご質問の事例でも,会社はAの申出を断れないように思えます。

しかし,時季との関係では,例外があります
労働基準法は,「(有給休暇を)請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては,他の時季にこれを与えることができる」とし,使用者に対し,いわゆる時季変更権という権利を認めています(労働基準法39条5項但書)

大事なポイント

その時季に有給休暇を与えることにより,会社の「事業の正常な運営が妨げられるか否か

時季変更権の行使が認められる要件

  1. 業務遂行のための必要人員を欠くなど業務上の支障が生じること
  2. 労働者が指定した時季に年休が取れるように使用者が状況に応じた配慮を尽くしていること
    (最判昭和62年7月10日)

判断材料

  1. 企業の規模
  2. 労働者の職務の内容
  3. 業務の繁閑
  4. 代替要員の確保の難易
  5. 同時期における年休取得者の有無 等。

ご質問の事例でも,こういったポイントを見ながら要件具備の可能性を検討し,時季変更権を行使するか否かを考えていくことになるかと思います。