公開日:2021.04.13
- 法律コラム
- 労働問題(企業側)
従業員が行方不明になったら|無断欠勤で解雇できる?
【本記事の監修】 弁護士法人桑原法律事務所 弁護士 桑原貴洋 (代表/福岡オフィス所長)
- 保有資格: 弁護士・MBA(経営学修士)・税理士・家族信託専門士
- 略歴: 1998年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。
日本弁護士連合会 理事、九州弁護士会連合会 理事、佐賀県弁護士会 会長などを歴任。
目次CONTENTS
従業員が行方不明になり、無断欠勤しているような場合、会社としてはどのように対応すればよいでしょうか。桑原法律事務所の弁護士が解説いたします。
従業員が行方不明:家族や警察等に連絡し、解雇を検討する
従業員が行方不明になった場合、まずは家族や警察等に連絡をすべきでしょうが、行方不明ということは無断欠勤が続いている状況と考えられますので、会社の就業規則に則り、解雇を検討することになります。
通常、無断欠勤は、就業規則にて定める解雇事由または懲戒解雇事由に該当することになりますので、会社としては、行方不明の労働者の解雇を検討することになります。
行方不明の従業員に対する解雇通知の方法
解雇通知は意思表示の一種であるため、被解雇者に意思表示が到達する必要がありますが(民法97条1項)、行方不明者には意思表示が到達しないため、解雇の効力が生じないのではないかという問題が発生します。
そこで、行方不明者への解雇通知の方法として、公示の方法によって意思表示を行うという方法があります(民法98条2項)。
公示とは、具体的には、裁判所への申立てをして、「意思表示の内容を裁判所の掲示板に掲示し、かつ、掲示があったことを官報に掲載してから2週間経過すると、意思表示が到達したものとみなす」という制度です。
このように、行方不明者を解雇する場合には、裁判所を通した意思表示が必要になり、手続の費用や労力が生じます。
その他の方法:就業規則に自動退職事由を明記しておく
以上のとおり、裁判所を通しての手続には、時間と労力を要します。
そこで、就業規則に、自動退職事由をあらかじめ明記しておくという方法が考えられます。自動退職事由とは、「行方不明となり、欠勤●日を超えたときは自動退職とする」などです。
もっとも、就業規則の内容には合理性が要求されるため、このような定めを設ける際には、事前に弁護士にご相談されることをおすすめいたします。
参考:[改訂版]企業のための労働契約の法律相談/青林書院/下井隆史,松下守男,渡邊徹,木村一成[編]
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