公開日:2021.11.05
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弁護士の調査権限(弁護士会照会)|相手の財産や住所を調査できる?
【本記事の監修】 弁護士法人桑原法律事務所 弁護士 桑原貴洋 (代表/福岡オフィス所長)
- 保有資格: 弁護士・MBA(経営学修士)・税理士・家族信託専門士
- 略歴: 1998年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。
日本弁護士連合会 理事、九州弁護士会連合会 理事、佐賀県弁護士会 会長などを歴任。
目次CONTENTS
Q.弁護士に頼めば、相手の財産等の調査が可能なのでしょうか?
A.弁護士は、その職務上、様々な調査が可能ですが、制約や限界もあります。
弁護士には、
- 住民票や戸籍などの職務上請求
- 裁判所を通じた調査嘱託・文書送付嘱託
- 弁護士会照会
など、様々な調査方法があります。この中でも今回は、利用頻度が高く開示範囲も広い弁護士会照会についてご説明したいと思います。
弁護士会照会とは|受任事件の証拠や資料を収集、調査
弁護士会照会とは、弁護士が依頼を受けた事件について、証拠や資料を収集し、事実を調査するなど、その職務活動を円滑に行うために設けられた法律上の制度(弁護士法第23 条の2)です。
弁護士会照会を利用して、交通事故実況見分調書やコンビニの防犯カメラ映像、相手方の預貯金口座の残高履歴、携帯電話の契約者は誰かなどを確認することができます。
弁護士会照会には制約がある
ただし、弁護士会照会には次のような制約があります。
1.依頼を受けた事件に関しての照会であること
あくまで事件解決のための調査としての照会でなければならず、単なる調査目的での照会は認められません。
したがって、「この人の財産を調べて」という依頼での調査はできないこととされています。
2.照会の必要性と照会による権利侵害が比較考量されること
例えば預貯金残高といった、個人の知られたくない程度の高い情報の照会を求める場合には、その照会の必要性が高い場合(すでに債務名義を得て差押えをしようとしているなど)でなければなりません。
3.必ずしも照会に対する回答が得られないこと
弁護士会照会は、あくまで弁護士会という自治組織からの照会ですので、照会先や照会内容によっては回答を拒否される場合があります。有名なところでは、某SNS 運営会社は回答を拒否することが多いです。
※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。