公開日:2018.07.31 最終更新日:2021.10.12
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遺産を分ける方法 -現物分割・代償分割・換価分割・共有分割について解説-
【本記事の監修】 弁護士法人桑原法律事務所 弁護士 桑原貴洋 (代表/福岡オフィス所長)
- 保有資格: 弁護士・MBA(経営学修士)・税理士・家族信託専門士
- 略歴: 1998年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。
日本弁護士連合会 理事、九州弁護士会連合会 理事、佐賀県弁護士会 会長などを歴任。
目次CONTENTS
「被相続人の遺産を分割する場合に、具体的にどう分割するのか」という点は、場合によっては大きな問題となります。そこで、今回は遺産の分割方法について解説いたします。
遺産の分割方法の種類
分割方法の種類等を整理すると、一般的に、現物分割、代償分割、換価分割、共有分割の4種類があるといわれています。そして、この順序で分割を考えていくべきとされています。つまり、
- まず現物分割を検討し、
- 現物分割が相当でない場合には代償分割を検討し、
- 代償分割もできない場合には換価分割を検討し、
- 共有のままにする分割は最後の手段とするべき、
といわれています(大阪高決平成14年6月5日)。
遺産の分割方法(現物分割・代償分割・換価分割・共有分割)
遺産の分割方法には、現物分割・代償分割・換価分割・共有分割があります。それぞれの具体的な分割方法について、以下で解説いたします。
現物分割とは
現物分割は、個々の財産の形状や性質を変更することなく分割するという分割方法です。
例えば、「この不動産はAさん、この不動産はBさん」というかたちで行う遺産分割をいいます。
代償分割とは
代償分割は、一部の相続人が法定相続分を超える額の財産を取得するかわりに、他の相続人に対して代償金を支払う方法です。例えば、「この不動産はAさん、そうするとAさんは取得しすぎということになるからAさんはBさんに対し~~万円払ってね」というかたちで行う遺産分割をいいます。
代償分割は、不動産や株などの分けにくい遺産の分割方法として活用されていますが、代償分割の方法が適切かどうかについては慎重な検討が必要です。
代償分割の条件
法律上は、「特別の事由」がある場合に代償分割ができるとされています。「特別の事由」とは、特定の相続人の占有・利用状態を特に保護する必要がある場合などが、これに当たると解されています。
ただし、判例上、「特定の相続財産を取得し、債務を負担することになる相続人」については、その支払能力があることが要求されています。
代償金の支払方法
代償金の支払方法については、即時になされることが原則ですが、実務上は、3年から10年の分割払いを認めることがあります。
換価分割とは
遺産を売却等で換金(換価処分)した後に、価格を分配する分割方法です。
例えば、「被相続人の不動産を売却して200万になったから、100万円をAさん、残り100万円をBさん、というかたちで売却代金を遺産分割する」といったケースがあげられます。
不動産は、性質上、現物を分割するのは困難ですが、「他の相続人に代償金を支払ったうえで、その不動産を取得したい」という相続人がいない場合には、代償分割を行うこともできません。このような場合に、「遺産である不動産については売却したうえで(換価)、その代金を分配する」という換価分割を検討することになります。
換価分割における不動産の売却方法について
一般的には、任意売却を行う方が、競売手続よりも高額での売却が期待できますし、手続の進行も早いため、相続人全体にとってメリットがあると言えます。よって、換価分割を行う場合には、任意売却を目指すのがよいでしょう。
ただし、示談交渉にせよ裁判手続(調停、審判)にせよ、全員が合意しなければ任意売却を行うことはできません。よって、相続人が任意売却に応じない場合は、そのメリットを説明し、合意するように説得することが必要になることもあります。
共有分割とは
遺産の一部、全部を具体的相続分による物権法上の共有取得するという分割方法です。
例えば、「この不動産をAさん2分の1、Bさん2分の1ということで共有しましょう」というかたちで行う遺産分割をいいます。
遺産分割・相続問題のご相談は弁護士法人桑原法律事務所へ
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