公開日:2021.12.07 最終更新日:2022.05.02
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使用者責任とは?従業員が業務中に第三者に損害を与えたら|弁護士が解説

【本記事の監修】 福岡の弁護士 弁護士法人桑原法律事務所 弁護士 桑原貴洋 (代表/福岡オフィス所長)
- 保有資格: 弁護士・MBA(経営学修士)・税理士・家族信託専門士
- 略歴: 1998年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。
日本弁護士連合会 理事、九州弁護士会連合会 理事、佐賀県弁護士会 会長などを歴任。
目次CONTENTS
従業員が業務中、第三者に損害を与えた場合、使用者(会社)はその損害を賠償する義務を負います(民法715条第1項)。この責任のことを使用者責任といいます。
たとえば、建設会社の従業員が工事中、通行人にけがをさせた場合、その建設会社がけがの治療費や慰謝料などの賠償義務を負うことになります。また、従業員の通勤中の交通事故でも同様に、会社は賠償義務を負うことがあります。
使用者責任を免れる場合はほとんどない:保険でリスク回避を
会社は、従業員の選任監督に過失がないことを立証できれば使用者責任を免れることができます。しかし、選任監督に過失がないと認められることはほぼ皆無で、実質的には使用者責任は認められることになります。
会社としては、使用者責任に問われうる業務については、保険に加入することでリスク回避を行うべきでしょう。また、通勤にマイカーを利用する場合には、従業員が自動車保険に加入していることを確認しておくとよいでしょう。
会社が賠償した損害を従業員に全額求償できる?
会社が使用者責任として第三者に損害を賠償した場合、会社は賠償した損害を、従業員に支払うよう請求することができます。このことを求償といいます。
ただし、会社は賠償した全額を従業員に求償できるわけではなく、従業員の加害行為の態様等により一定額に制限されます。
なお、従業員が第三者に損害を賠償した後、会社に対してその賠償金の負担を求めた事案(いわゆる「逆求償」の事案)で、これを認める最高裁判決も出ています(最判令和2年2月28日)。
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