公開日:2017.12.25
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協賛金の支払いは独占禁止法にあたるか
【本記事の監修】 弁護士法人桑原法律事務所 弁護士 桑原貴洋 (代表/福岡オフィス所長)
- 保有資格: 弁護士・MBA(経営学修士)・税理士・家族信託専門士
- 略歴: 1998年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。
日本弁護士連合会 理事、九州弁護士会連合会 理事、佐賀県弁護士会 会長などを歴任。
目次CONTENTS
Q.取引先から協賛金を支払ってほしいと言われました…
大口の取引先から、『今度催し物をするから、協賛金を払ってほしい』と言われています。取引先からは強く求められていますが、断ることはできるのでしょうか。
A.取引先の行為は、独占禁止法2条9項5号に該当する可能性があります。
この取引先が、貴方の会社にとって大口の取引先であれば、事実上断ることが困難であろうことは想像できます。このような場合、取引先の行為は、独占禁止法2条9項5号に該当する行為を行ったと判断され、取引先に課徴金が課される可能性があります。
独占禁止法2条9項5号とは
独占禁止法2条9項5号では、
- 「自己の取引上の地位が相手方に優越していること」を「利用して」、
- 「正常な商慣習に照らして不当な行為」
を規制しています。
独占禁止法2条9項5号が問題となる当事者
独占禁止法2条9項5号が問題となる典型的な当事者は、
- 親事業者(完成品メーカー)と中小下請事業者(部品メーカー)
- 大規模小売業者と納入業者
- 金融機関と中小企業
です。
独占禁止法2条9項5号に違反しているか
今回のケースが、独占禁止法2条9項5号に違反しているか具体的に考えてみます。
A:自己の取引上の地位が相手方に優越している事業者(本件では、取引先) B:自己の取引上の地位が相手方に劣後している事業者(本件では、貴方の会社) |
「自己の取引上の地位が相手方に優越していること」
BにとってAとの取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障をきたすため、AがBにとって著しく不利益な要請等を行っても、Bがこれを受け入れざるを得ないような場合をいいます。
今回のケースが、このような場合に該当するかどうかは、以下を示す具体的事実を総合的に考慮することになります。
- BのAに対する取引依存度
- Aの市場における地位
- Bにとっての取引先変更の可能性
- その他、Aと取引することの必要性
「 利用して」
優越的な地位を有するAが不当な不利益をBに課せば、優越的な地位を使用したこととなります。
「 正常な商慣習に照らして不当な行為」
典型的には、購入要請や利益提供の要請などを指します。
協賛金の強制と独占禁止法に関してお悩みなら弁護士にご相談を
今回の協賛金の支払いを求める行為は、利益提供の要請になると考えることができるため、支払いを断ることができる、と判断できます。
当然、事情によって、相手方の行為が独占禁止法2条9項5号に該当するか否かの判断は異なります。
もし、お心当たりの事情がございましたら、お気軽に当事務所までお問い合わせください。
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※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。