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不正競争防止法違反かどうかの判断 ―退職した従業員の顧客データ持ち出し―

目次CONTENTS

【 Q 】

整骨院を営んでいます。うちで勤務していた従業員が退職し、新たに整骨院を開業しました。その従業員は退職の際、うちの顧客データを持ち出し、その顧客に対し自分の店に来るよう勧誘しているようです。

何か法的手段をとることはできますか?

 

【 A 】

不正競争防止法に違反しているとして、営業の差止めやデータの廃棄、損害賠償などを請求することが考えられます。
まず、不正競争防止法に違反しているかどうかの判断材料をご紹介します。

 

1.不正競争防止法違反の判断材料は?

顧客データが「営業秘密」に当たるか?

「営業秘密」(不正競争防止法2条6項)とは

① 秘密として管理されていること
② 事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であること
③ 公然と知られていないこと

※ 本件では、例えば顧客データファイルや電子記録媒体に「マル秘」と表示して保管していれば、「営業秘密」に当たると思われます。

 

顧客データの「不正取得行為」に当たるか?

顧客データを盗み出せば「不正取得行為」(不正競争防止法2条1項4号)に当たることは明らかです。

しかし、持ち出しについて相談者の許諾があるような場合には、不正の手段による取得といえず、「不正取得行為」には当たらないでしょう。

 

2.差止め、データの廃棄が認められるには?

不正競争により、営業上の利益が侵害又は侵害されるおそれが必要です(不正競争防止法3条1項、2項)

元従業員は、自ら整骨院を開業しているので、相談者は、実際に相談者の顧客が奪われることで、売り上げが減少し、又は減少する恐れがあるといえるでしょうから、差止めやデータの廃棄を請求することは可能と思われます。

 

3.損害賠償請求が認められるには?

「不正競争」のほか、これに対する「故意又は過失」や「損害」が必要となります(不正競争防止法4条)

一般的な不法行為責任の場合とは異なり、相手が侵害行為により得た利益の額が損害の額と推定されます(不正競争防止法5条)

例えば、相談者が顧客リストを奪われたことによる売り上げ減少額を立証できなくとも、元従業員が顧客リストを使用して得られた利益が分かれば、これが損害額と推定されることになります。

 

まとめ

今回はあくまで概略をご説明しましたが、実際には「不正競争」に当たる行為、法的手段の種類、各法的手段をとるための要件、立証や債権回収の可能性、刑事手続の選択など、検討・検証すべき事項は詳細かつ多岐にわたります。

類似の事案でお悩みの際は、ぜひ弁護士にご相談ください。

 

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