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法律コラム

公開日:2018.04.10 最終更新日:2022.08.25

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保釈とは|除外事由や保釈請求の方法|弁護士が解説

目次CONTENTS

この記事では、保釈について弁護士が解説いたします。

保釈とは

保釈とは、保釈保証金の納付等を条件として勾留の執行を停止し、被告人を身体拘束から解放する制度です。

刑事訴訟法上、保釈請求があったときはこれを許さなければならないとされており(刑事訴訟法89条)、保釈請求は認められるのが原則です。これを「権利保釈」といいます。

しかし実際には、除外事由により、保釈請求が認められないことのほうが圧倒的に多いという状況です。すなわち、原則と例外が逆転しており、これは非常に問題だといわれています。

保釈の除外事由

刑事訴訟法89条各号が定める除外事由は以下のとおりです。

  • 1号:被告人が死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき
  • 2号:被告人が前に死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき
  • 3号:被告人が常習として長期3年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき
  • 4号:被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき
  • 5号:被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき
  • 6号:被告人の氏名又は住所が分からないとき

もっとも、刑事訴訟法89条各号の除外事由に該当する場合でも、裁判所は、職権で保釈を認めることができます(刑事訴訟法90条)。これは、裁量保釈(任意的保釈)と呼ばれています。

保釈を請求する方法とは?

次に、実際に保釈を請求する方法について解説いたします。

保釈の請求権者は、勾留されている被告人またはその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族もしくは兄弟姉妹です(刑事訴訟法88条1項)。

保釈請求は、実務上は書面によってなされますが、口頭でも可能です(刑事訴訟規則296条)。

権利保釈を請求する場合、刑事訴訟法89条各号の事由に該当しないことを具体的に主張する必要があります。本来であれば、原則として保釈は認められなければならないのですが、実際は認められる可能性のほうが低いため、積極的に記載する必要があります。

裁量保釈を請求する場合には、保釈の必要性と相当性を主張する必要があります。

なお、権利保釈が容易に認められない傾向から、権利保釈とともに裁量保釈も請求しなければならないというのが実情です。裁量保釈の考慮要素は、刑事訴訟法90条に規定されています。

刑事訴訟法90条
裁判所は、保釈された場合に、被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮し、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。

弁護人は、これらの考慮要素から保釈が認められるべきであることを積極的に主張するとともに、身元引受書などの疎明資料を提出することになります。

※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。