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企業法務
従業員から突然退職の申し入れがあったら ―期間の定めのある労働契約 と 期間の定めのない労働契約―

従業員の採用や育成には、相当の労力とコストがかかりますが、育成中の従業員がある日突然、辞めると言って来なくなってしまった場合、法律関係はどうなるでしょうか。

企業側からすれば、ある程度任せていた仕事もあったのに、突然来なくなって現場が回らなくなってしまった、顧客とトラブルが生じてしまったなど、突然辞められては困ります。

この場合法律上は、期間の定めのある雇用契約の場合と、期間の定めのない雇用契約の場合とで、全く異なる規律となっています。

期間の定めのある雇用契約の場合

期間の定めのある雇用契約の場合、やむを得ない事由がない限り、期間途中での従業員からの解約申入れ(退職届)は、法律上無効です(民法626条、628条、労働基準法14条参照)
つまり、従業員は原則として、辞められません。

したがって、例えば【 4月1日に、1年の期間を定めて雇用した従業員が、7月31日に突然辞めると言い出し、8月1日から来なくなった 】というケースも、従業員の側で「やむを得ない事由」(例えば、自身の疾病により労務提供が困難になったとか、親の介護が必要になったなど)を証明できない限りは、企業の側は解約申入れ(退職届)を無効として、従業員に対し、労務を提供せよと請求をすることも、損害賠償請求をすることも可能です。

期間の定めない雇用契約の場合

他方、期間の定めない雇用契約の場合、2週間前に予告をすればいつでも解約申入れすることができます(民法627条)

したがって、7月17日に今月末をもって辞めると意思表明すれば、8月1日からは出社する義務も労務提供する義務もなくなります。
しかし、7月31日に突然辞めると言って翌日から来なくなった場合には、2週間の予告期間の経過をもって雇用契約が終了しますので、企業としては、その間は労務を提供せよと請求したり、企業に生じた損害を従業員に対して賠償請求したりすることができる訳です。

なお、期間の定めのない雇用契約の場合に、就業規則で例えば3か月前の予告期間を定めていた場合であっても、従業員は民法627条により、2週間前に予告すれば足りる(労働基準法13条参照)との考え方が有力なようであり、3か月前に予告しなかったから辞めさせないというのは違法と判断されそうなので、注意をしましょう(期間の定めのある雇用契約の場合は別です)。

 

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