公開日:2019.05.31 最終更新日:2022.08.25
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身元引受人とは|必要になるケースとは|弁護士が解説
【本記事の監修】 弁護士法人桑原法律事務所 弁護士 桑原貴洋 (代表/福岡オフィス所長)
- 保有資格: 弁護士・MBA(経営学修士)・税理士・家族信託専門士
- 略歴: 1998年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。
日本弁護士連合会 理事、九州弁護士会連合会 理事、佐賀県弁護士会 会長などを歴任。
目次CONTENTS
被疑者が逮捕や勾留により身柄を拘束され,その後,釈放や保釈される際に,身元引受人が必要になる場合があります。
身元引受人に関する法律上の規定はありませんが,一般的には,被疑者が釈放された場合や被告人が保釈される場合等に,被疑者や被告人の身柄を引き受け,行動や生活を監督する人をいいます。
身元引受人が必要になるケース
身元引受人が必要になるケースとしては,以下のようなケースがあります。
1.逮捕された場合
逮捕後,釈放される場合に,身元引受人を要求されるケースがあります。
少額の商品を万引きした場合など,軽微な犯罪の場合には,身元引受人がいればすぐに釈放されることがあります。
2.逮捕後勾留前
被疑者の住所が不定であったり,逃亡や罪証隠滅のおそれがあるなど,勾留の可能性が高い事件の場合には,逮捕後勾留前に検察官や裁判官に対して,勾留請求や勾留決定をしないよう求めるケースがあります。このような場合には,身元引受人が必要になるケースが多いと思われます。
3.勾留決定後
勾留決定がされた後であっても,勾留決定の取消しや勾留延長をしないよう求めるケースがありますが,この場合にも身元引受人が必要になるケースが多いと思われます。
4.起訴後
起訴後に勾留されて保釈を求めたい場合や執行猶予を求める場合にも,身元引受人が必要になるケースが多いと思われます。
身元引受人になれる人とは
身元引受人は,被疑者や被告人の行動や生活を監督する人であるため,一般的には,同居の親族が身元引受人になることが多いです。
もっとも,同居していない親族も身元引受人になることができます。身元引受人は,被疑者や被告人の行動や生活を監督する人ですが,ここでいう「監督」は常に監視しなければならないということではないためです。
親族以外は身元引受人になれる?
それでは,親族以外(会社の上司や友人等)の人は身元引受人になれるのでしょうか。
結論としては,会社の上司や友人でも身元引受人になることができます。身元引受人は,被疑者や被告人の行動や生活を監督する人ですが,親族ではなくても監督は可能であるためです。
もっとも,同居の親族と比較すると,より適切な監督が期待できるのは同居の親族であると思われます。したがって,身元引受人として望ましいのは,被疑者や被告人と同居している親族ということになるでしょう。
また,身元引受人になって欲しいと依頼する際にも,同居の親族の場合は依頼がしやすく,ほぼ引き受けてくれますが,会社の上司や友人だと依頼がしにくく,引き受けてくれない可能性もあります。
身元引受人がいない場合はどうなる?
被疑者や被告人に身元引受人がいなかった場合はどうなるのでしょうか?
身元引受人が必要になるケースは前述のとおりですが,例えば,逮捕された場合に身元引受人がいないとなると,釈放されない可能性が高くなるといえるでしょう。同様に,勾留される可能性や,保釈が認められない可能性,執行猶予が認められない可能性も高くなると思われます。
すなわち,身元引受人が確保できないと,被疑者や被告人にとっては不利益になる可能性が高いといえるでしょう。もっとも,身元引受人の重要度は事件によって異なりますので,身元引受人がいなくても釈放等がされるケースはあると思われます。
まとめ
以上より,身元引受人の確保は,被疑者や被告人の利益につながるため,非常に重要であるといえます。身柄を拘束された場合や起訴された場合には,お早めに弁護士にご依頼いただき,身元引受人の確保をするべきでしょう。
※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。