公開日:2017.12.25
最終更新日:2021.10.28
CASE
- 相続放棄
相続放棄とは -相続放棄できるケース・できないケース、「相続分の放棄」との違い-
目次CONTENTS
相続人は、相続開始の時(死亡時)から、被相続人の権利義務を承継します(民法896条)。
相続放棄とは、相続の開始を知った時(通常は死亡時)から、原則3ヶ月以内に家庭裁判所に申述して、被相続人の権利義務を承継しないようにすることです(民法915条)。
相続放棄ができるケースとできないケース
相続財産を処分してしまった場合
被相続人の相続財産を処分してしまうと、相続を承認したとして(法定単純承認)、相続放棄できなくなります。相続人は、単純承認したときは、被相続人の権利義務を承継します。また、承認の撤回はできません。
相続放棄に無効原因が存在する場合
仮に、家庭裁判所で相続放棄の申述が受理されても、実は相続放棄に無効原因が存在するという場合、相続放棄の無効を主張され、被相続人の借金の返済等を求められる可能性もあります(最高裁判所昭和29年12月24日判決等)。
相続財産から葬儀費用を捻出した場合
では、知らずに被相続人の預貯金等の相続財産から葬儀費用を捻出してしまった場合なども、相続放棄できなくなってしまうのでしょうか。この点は、身分相応の葬儀費用であれば相続財産から支出しても法定単純承認には当たらない、とする裁判例があります(大阪高等裁判所平成14年7月3日決定等)。
一方で、必要最小限の費用を超えるような場合などには、相続放棄できないこととなるでしょう。
相続放棄と相続分の放棄の違い
「相続放棄」と「相続分の放棄」は異なります。以下で解説いたします。
相続放棄とは?
相続放棄とは、家庭裁判所での手続を経て、被相続人のプラスの財産(預金、不動産等)もマイナスの財産(借金)も放棄することをいいます。この手続は相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所での手続をとらなければなりません。この手続をとらなければ、被相続人の財産を相続したものとみなされます。なお、一度、相続放棄の手続をとってしまうと撤回することができません。
相続分の放棄とは?
相続分の放棄とは、一方的な意思表示により、自己の相続分を放棄するものであり、時期や方式について特に指定はありません。なお、相続放棄とは違い、相続分の放棄をしても、被相続人のマイナスの財産(借金等)を放棄できるわけではありません。
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【監修】 弁護士法人桑原法律事務所 弁護士 桑原貴洋 (代表/福岡オフィス所長)
- 保有資格: 弁護士・MBA(経営学修士)・税理士・家族信託専門士
- 略歴: 1998年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。日本弁護士連合会 理事、九州弁護士会連合会 理事、佐賀県弁護士会 会長などを歴任。