公開日:2020.04.09 最終更新日:2021.01.13
- 法律コラム
- 新型コロナウイルス関連
自宅待機期間の賃金や休業手当|濃厚接触者の従業員、特定の国から帰国した従業員
【本記事の監修】 弁護士法人桑原法律事務所 弁護士 桑原貴洋 (代表/福岡オフィス所長)
- 保有資格: 弁護士・MBA(経営学修士)・税理士・家族信託専門士
- 略歴: 1998年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。
日本弁護士連合会 理事、九州弁護士会連合会 理事、佐賀県弁護士会 会長などを歴任。
目次CONTENTS
濃厚接触者である従業員の自宅待機期間の賃金や休業手当について
Q.従業員の家族に新型コロナウイルスの感染者が出たため、濃厚接触者である当該従業員を2週間の自宅待機としました。当該従業員に対し、自宅待機期間の賃金や休業手当を支払う義務はありますか?
A. この場合、事案によっては異なる判断となる可能性もありますが、昨今(令和3年1月現在)の社会情勢にかんがみますと、「使用者としてのやむを得ない判断」と評価されて、「賃金については支払義務なし」と判断される可能性が高く、「労働者の生活保障という趣旨の休業手当(賃金の60%以上)については支払義務あり」と判断される可能性が高いと考えられます。
特定の国から帰国した従業員の自宅待機期間の賃金や休業手当について
Q.新型コロナウイルスの感染者が多数出ている特定の国から帰国した従業員を、2週間の自宅待機としました。当該従業員に対し、自宅待機期間の賃金や休業手当を支払う義務はありますか?
A. 休業手当(賃金の60%以上)については、労働者の生活保障という趣旨からしても、支払義務ありと判断される可能性が高いといえるでしょう。
他方、賃金については、どの国から帰国したのか、当該国での感染拡大状況等にかんがみ、判断は非常に難しいところですが、昨今(令和2年4月上旬)の世界的な感染拡大という社会情勢にかんがみますと、使用者としてのやむを得ない判断と評価される可能性が高いので、賃金については支払義務なしと判断される可能性が高いでしょう。
ただし賃金についても、誰とも接点を持つことなく労務を提供することができる仕事や、自宅勤務などの方法に容易に変えることにより労務を提供できる仕事であるのに、これらの方策を十分検討するなど休業の回避について通常使用者として行うべき最善の努力を尽くしていない場合には、賃金全額の支払いが認められる可能性はあり得ます。
新型コロナウイルスの影響による給与カット・解雇・雇止め等でお困りの方々のご相談もお受けしております。まずはお気軽にお問い合わせください。
給与カット・解雇・雇止め・職場での嫌がらせ等、会社との関係でお困りの方はこちら
「医療・介護」「飲食・ホテル」「小売・店舗」「保育園」「タクシー」「士業」「不動産」「コンサルタント」「人材サービス」「フィットネス」など30名以下のサービス業に特化した顧問弁護士サービス 月額11,000円でお試し可能!詳しくはこちらをご覧ください > |
※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。