公開日:2018.07.31 最終更新日:2022.08.25
- 法律コラム
- 刑事事件
司法取引とは|流れについて解説
【本記事の監修】 福岡の弁護士 弁護士法人桑原法律事務所 弁護士 桑原貴洋 (代表/福岡オフィス所長)
- 保有資格: 弁護士・MBA(経営学修士)・税理士・家族信託専門士
- 略歴: 1998年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。
日本弁護士連合会 理事、九州弁護士会連合会 理事、佐賀県弁護士会 会長などを歴任。
目次CONTENTS
司法取引とは,被疑者・被告人が,他人(標的者)の法定の特定犯罪についての捜査・公判に協力することと引き換えに,弁護人の同意のもと検察官が協力した被疑者・被告人(協力者)に恩恵を付与することを合意する制度です。
法定の特定犯罪は,以下のものになります(刑事訴訟法350条の2第2項)。
- 刑法犯
封印破棄・強制執行妨害関係、文書偽造等、贈収賄関係、詐欺罪・背任・恐喝・横領・業務上横領 - 組織的犯罪処罰法
組織的犯罪処罰法に係る強制執行妨害関係,詐欺,恐喝,犯罪収益隠匿,犯罪収益収受 - 財政経済犯罪
租税法,独占禁止法,金融商品取引法の罪,その他の財政経済関係犯罪として政令で定めるもの - 爆発物取締罰則,大麻取締法,覚せい剤取締法,麻薬及び向精神薬取締法,武器等製造法,あへん法,銃砲刀剣類所持等取締法,いわゆる麻薬特例法
- 上記各特定犯罪を本罪とする犯人蔵匿,証拠隠滅,証人威迫,組織的犯罪処罰法に係る犯人蔵匿,証拠隠滅,証人威迫
司法取引の流れ
司法取引の流れは以下のとおりとなります。
合意が成立した場合
- 協議の申入れとこれへの応答
- 協議
- 合意
- 検察官,被疑者・被告人,弁護人の連署の合意書面の作成
- 合意した行為の履行
なお,合意が不成立の場合は,司法取引の手続としては,不成立ということで終了します。
合意が成立しなかった場合
合意が成立しなかった場合,協議における供述を証拠として使用することは禁止されます(刑事訴訟法350条の5第2項)。
もっとも,その供述に基づいて得られた証拠の使用自体は禁止されていません。例えば,協議における供述に基づきある場所を捜索した場合に発見した証拠物については,供述者の刑事裁判において利用することは可能です。
また,司法取引が成立しない場合に,刑事免責のうえ,証言させることは妨げられていません。
※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。