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公開日:2020.08.18 最終更新日:2021.12.20

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自己破産のデメリットやメリット|手続の流れ|弁護士が解説

目次CONTENTS

この記事では、自己破産のデメリットやメリット、自己破産手続きの流れについて、弁護士が解説いたします。

借金返済が苦しくなると、自己破産が有効な対処方法となります。裁判所に自己破産を申し立てて免責決定が出ると、事実上借金を支払わなくてよくなります。ただし、自己破産にはデメリットもあるので、正しく理解しておきましょう。

自己破産とは?

自己破産とは、借金が払えないとして、債務者自らが裁判所に対し、破産を申し立てることをいいます。その後、免責決定が出れば、事実上、借金を支払わなくてよくなります(ただし、税金や健康保険料など、一部の支払義務は残ります)。自己破産は、借金を整理する手続きである債務整理の一種です。

自己破産によって借金の支払義務がなくなるのは、免責決定による効果です。免責決定が確定すれば、その時点で事実上借金の支払義務がなくなります。たとえ、1億、2億といった借金でも、免責されればその支払義務からは解放されますので、破産手続きは借金問題を根本的に解決する方法といえます。

ただし、自己破産をすると、原則その方の財産はお金に換えられてしまいますので、自宅をお持ちの方などは注意が必要です。

関連記事:個人再生と住宅資金特別条項 -持ち家を残して借金を整理したい-

自己破産のデメリットとは?

自己破産をする場合、以下のようなデメリットがあります。

デメリット1. 一定以上の財産がなくなる

自己破産のデメリットの1つは、一定程度以上の財産が無くなってしまうことです。価値のある財産は、差し押さえの対象となり、換金されて債権者に配当されます。たとえば、家をお持ちの方であれば、家は原則、破産手続きのなかでお金に換えられてしまいます。

ただし、一切の財産がお金に換えられるわけではありません。いわゆる自由財産といわれる少額資産については、換金することなく破産手続きを終えることができます。また、生活に最低限必要な財産は没収されません。

なお、同時廃止の場合には、もともと財産が少ないので、財産がなくなることはありません。

デメリット2. ブラックリストに載ってしまう

自己破産をすると、個人信用情報に事故情報が登録されてしまいます。いわゆるブラックリストに載るという状態です。破産者の情報は、信用情報機関に5~10年間登録されるため、その間はクレジットカードの作成やローンを組むことが難しくなります。

デメリット3. 官報や破産者名簿に掲載される

自己破産をすると、官報(国の発行する機関誌)に官報公告が行われることになります。

官報には、破産者の住所・氏名、破産手続の日時等が記載されます。ただし、一般の方で官報を購読する人は少ないので、このことによって破産の事実が周囲に知られる可能性は少ないでしょう。

破産者名簿は、市区役所などが管理しているもので、一般に公開されることはありません。破産者名簿には、破産宣告を現在受けているかどうかだけが記載され、免責を受けたあとは抹消されます。

デメリット4. 資格制限を受ける

自己破産をした場合、破産手続開始から免責許可が下りるまでの間、一定の資格や職業が制限されます(資格制限)。
具体的には、弁護士、司法書士、税理士、弁理士、警備員、生命保険の外交員、後見人 などの様々な資格や職業が該当します。資格制限を受ける職業に、一定期間就けなくなってしまうことも、自己破産のデメリットと言えるでしょう。

なお、免責決定が確定すると、資格制限はなくなります

デメリット5. 住所移転や長期旅行が制限される

破産者に財産があり、破産管財人が選任される管財事件となった場合には、破産手続が終了するまで、引越しや長期の旅行(海外旅行)を行う際に、裁判所の許可が必要になります。

デメリット6. 連帯保証人に迷惑がかかる

自己破産をすると、債権者は破産者に対する取立てはできなくなりますが、連帯保証人へは取立てを行うことができます。そのため、主債務者が自己破産した場合、連帯保証人も一緒に破産するという事例も多くあります。

 

自己破産のデメリットに対する誤解

Q. 自己破産をしたことが戸籍や住民票に載るのでしょうか?

自己破産をしても、戸籍や住民票に自己破産をした事実が記載されることはありません。

Q.自己破産をしても、年金を受給することはできますか?

自己破産をしても、年金を受給することができます。自己破産したからといって年金が受給できなくなるということはありませんし、受給額を減額されることもありません。

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自己破産のメリットとは?

メリット1. 事実上借金を支払わなくてよくなる

自己破産の何よりのメリットは、事実上借金の支払義務が免除されることです。

手続き後に借金が残らないので、ゼロからのスタートが可能です。どれだけ多額の借金があってもゼロにできますし、無職・無収入でも自己破産することができます。自己破産後に生活保護を受けることも可能ですし、生活保護受給中の方も自己破産で借金問題を解決できます。

メリット2. 弁護士に依頼すると支払い督促が止まる

自己破産を弁護士に依頼すると、通常、弁護士は速やかに各債権者に対し、依頼を受けましたという書面(受任通知)を発送しますが、その書面を債権者が受け取った時点で債権者からの督促が止まります。貸金業法により、弁護士介入後は、債権者が債務者に直接請求できないことになっているからです(貸金業法21条1項9号)

このように、自己破産には非常に強力な効果があるので、借金問題に苦しむ人にとって、問題解決するための最終手段とも言えます。

破産の管財事件と同時廃止事件とは?

管財事件と同時廃止事件とは?

破産手続きは、管財事件同時廃止事件のいずれかの手続きにそって処理されます。

管財事件とは?破産管財人とは?

管財事件とは、例えば、破産者に一定以上の財産がある場合や、浪費やギャンブルなどの免責不許可事由が疑われる場合などに選択される手続きです。

管財事件では、破産管財人が選任されます。破産手続きにおいて、破産管財人は、破産者の財産をお金に換えたり、免責不許可事由がないか調査をしたり、さまざまな業務を行います。管財事件の場合、破産者は、破産管財人の活動費用を、予め裁判所に納めなければなりません。裁判所によって金額はまちまちですが、最低20万円程度としている裁判所が多いかと思います。

破産手続きのなかで相当のお金を蓄えることができた場合、そのお金は、債権者への配当に充てられることとなります。

以上のとおりですので、管財事件になると、原則、破産者の財産は失われることとなってしまいます。

同時廃止とは?

これに対し、同時廃止事件は、破産者にほとんど財産がないケースで採用される、非常に簡易な手続きです。

破産管財人は選任されませんし、破産者の財産がお金に換えられることもありません。管財事件と違い裁判所に多額のお金を納める必要もありませんし、免責決定までに要する期間も短いです。

自己破産の流れ

1. 弁護士への依頼

自己破産をするときには、まずは弁護士に相談をして、手続を依頼するのが一般的です。

2. 受任通知の発送

自己破産を弁護士に依頼すると、通常、弁護士はすみやかに各債権者に対して「依頼を受けました」という書面(受任通知)を発送しますが、その書面を債権者が受け取った時点で、債権者からの督促が止まります

3. 破産と免責の申立て

その後、必要書類を揃えて、裁判所に破産手続きの申立てを行います。

4. 破産手続き開始決定が下りる

申立書類に不備がなければ受理され、裁判所から「支払不能の状態である」と判断されれば、破産手続開始決定が出ます。

5. 破産審尋が行われる場合もある

裁判所によっては、破産手続開始決定の前に、破産審尋が行われることもあります。破産審尋とは、破産手続き開始決定をするに際し、裁判官が破産者と面接し、質問をする手続きです。裁判所にて行われるので、破産者も出頭する必要があります。弁護士に申立てを依頼していれば、弁護士も同行します。

その後の流れは、同時廃止管財事件とで異なります。それぞれの流れについて、以下で解説いたします。

6-1. 同時廃止の場合は、ただちに破産手続きが終了する

同時廃止の場合には、破産手続き開始決定後、ただちに破産手続きが廃止されて終了します。
その後、債権者による意見申述期間を経て、裁判官によって免責するかどうかの判断が行われます。

6-2. 管財事件の場合は、約3か月おきに債権者集会が開かれる

管財事件の場合には、破産手続き開始決定とともに、破産管財人が選任されます。破産管財人は、破産者の財産を現金化して債権者への配当を進めます。その間3ヶ月に1回ほど、裁判所で債権者集会が開かれます。

すべての財産の換価(お金に換えること)と配当が終わったら、破産手続きが終了します。ただし、配当するほどの財産が築けなかった場合は、配当の手続きは省略され、破産手続きが終了します。これを異時廃止といいます。その後、裁判官が破産管財人の意見をふまえて、免責について判断します。

同時廃止の場合でも、管財事件の場合でも、免責決定が下りたら、破産債権についてその責任を免れることとなります。

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自己破産は非常に有効な借金問題の解決方法ですが、裁判所への申立てが必要で、法律に従って進めていかなければならないため、個人で取り組むのは難しいことも多いでしょう。

借金にお困りで自己破産を考えている方は、専門家である弁護士に相談されることをおすすめいたします。

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※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。


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