公開日:2020.02.13 最終更新日:2021.12.24
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事業再生ADRとは?経営陣は退陣しなければならない?
【本記事の監修】 弁護士法人桑原法律事務所 弁護士 桑原貴洋 (代表/福岡オフィス所長)
- 保有資格: 弁護士・MBA(経営学修士)・税理士・家族信託専門士
- 略歴: 1998年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。
日本弁護士連合会 理事、九州弁護士会連合会 理事、佐賀県弁護士会 会長などを歴任。
目次CONTENTS
事業再生ADRとは
事業を再建するためになされる債務整理方法のひとつとして「事業再生ADR」というものがあります。
事業再生ADRとは、私的整理に関する協議の仲介手続きです。「裁判外紛争解決手続きの利用の促進に関する法律」に基づいて法務大臣による認証を受け、かつ「産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法」に基づいて経済産業大臣による認定を受けた民間機関である特定認証ADRが実施します。
事業再生ADRは「第三者」が手続きを主催する
このように、事業再生ADRでは、債務者・債権者以外の公平中立な第三者(特定認証ADR)が手続きを主催します。この点が、私的整理ガイドラインとの大きな違いです。著名な特定認証ADR事業者としては、「事業再生実務家協会(JATP)」があります。
事業再生ADRの手続き
事業再生ADRの手続きの概要は、以下のとおりです。
- 事前相談→仮受理→正式申込み
まずは、特定認証ADRに対して、相談をするところから始まります。利用の申請をすると、審査員による審査が行われ、これに通れば仮受理となります。その後、正式申込みという流れです。 - 一時停止の通知
債権者に対し、債権回収等を禁止する内容の通知を発送します。 - 債権者会議(概要説明のためのもの)
- 事業再生計画案の検討
- 債権者会議(協議のためのもの)
- 債権者会議(決議のためのもの)
事業再生ADRの利用数は年々増えているようですが、それでも年間数十件ほどしか利用されておらず、また、利用している企業もいわゆる大企業といえるような企業が大半のようです。
事業再生ADRで債権放棄を伴う場合、経営陣は退陣しなければならない
事業再生ADRにおいても私的整理ガイドラインの場合と同様に、債権放棄を伴う事業再生計画案を策定する場合は、経営者責任を明確にするため、原則経営陣は退任することとされています。
もっとも、事業の継続に著しい支障をきたすおそれがある場合はこの限りではないとされていますので、ケースバイケースの検討が必要です。
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