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法律コラム

公開日:2020.06.25 最終更新日:2021.10.29

CASE

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履歴書に嘘や経歴詐称があったら、辞めさせることはできる?

目次CONTENTS

多くの会社では、採用審査の際、応募者から履歴書を提出してもらうと思います。履歴書には、その方の学歴、職歴、賞罰の有無などが書かれており、ここに嘘があった場合、使用者としては裏切られたような気持ちになり「そのような人とは一緒に働けない」と思うでしょう。

採用した従業員の履歴書に嘘があることがわかったら、その従業員に辞めてもらうことはできるのでしょうか。桑原法律事務所の弁護士が解説します。

履歴書に嘘や経歴詐称があったら

従業員の経歴詐称|辞めさせることはできる?

A. 経歴詐称を理由に辞めさせることができるかはケースバイケースです。

経歴詐称があったからといって、どんな事案でも必ず辞めさせることができるということはありません。

たとえば、使用者は、経歴を偽った応募者に対して、採用の際に「それではうちで働いてください」といった雇用契約成立に向けた意思表示をします。

そして、履歴書に経歴詐称があった場合には、この意思表示が「虚偽の履歴書を前提とする勘違いの意思表示であったため錯誤により契約は無効(民法95条)」であるとか、「騙された結果の意思表示であったため詐欺により契約を取り消す(民法96条)」といった法律構成のもとで辞めさせるということが考えられるところです。

ただし、いずれもそれなりに要件は厳格です

経歴詐称を理由に懲戒解雇することはできる?

また、懲戒解雇とするという法律構成も考えられるところですが、裁判例上、懲戒処分の対象となる経歴詐称については、「使用者による能力や人物評価を妨げ継続的な労働契約関係における信頼関係を損なうような重要な経歴の詐称に限られる」と一定の限定がかけられており、無制限に懲戒処分ができるということにはなっていません

懲戒解雇を含む懲戒処分をするためには、あらかじめ就業規則等により懲戒の種別及び事由を定めておくこと、同就業規則を周知しておくことが必要です。

それでは、「就業規則で懲戒の種別及び事由を定め、同規則を周知しているのであれば、その規則に沿ってした懲戒解雇処分は全て有効か?」というと、必ずしもそうではありません。

懲戒解雇処分は非常に重い懲戒処分のため、その有効性は極めて慎重に判断されます。

経歴詐称で解雇する場合は「重大な経歴詐称」

例えば、従業員が自身の経歴を詐称していて、その会社には経歴詐称に対し懲戒解雇を含む懲戒処分を課すことができる就業規則があったとします。そして、会社は経歴詐称をした従業員に対し、懲戒解雇処分を言い渡したとします。

一見すると懲戒解雇処分は有効なようにも思えますが、例えば、経歴詐称が「履歴書に○○中学卒と書いていたのに実際は△△中学卒だった」といった程度のものであった場合はどうでしょうか。

確かに経歴詐称だとはいえますが、程度としては軽微です。

この点、多くの裁判例は、ここでいう経歴詐称は重大な経歴詐称でなければならない、と考えます。

重大な経歴詐称とは?

重大な経歴詐称とは、例えば、最終学歴、前科といった点に関する経歴詐称でしょうか。

「○○中学卒と書いていたのに△△中学卒だった」というケースの場合は、経歴詐称を重大な経歴詐称と評価するのはさすがに困難でしょうから、これに対して懲戒解雇処分をしてしまうと、労働契約法15条にいう「客観的に合理的な理由」がないとして同処分は無効となるでしょう。

また、仮に重大な経歴詐称であったとしても、「それに対する処分が懲戒解雇では重過ぎないか」、「減給や出勤停止では足りないか」という点も考えなければなりません。

仮に重過ぎるということになれば、労働契約法15条にいう「社会通念上相当」ではないということで無効となってしまいます。

労働問題のご相談は弁護士法人桑原法律事務所へ

桑原法律事務所のスタッフ

以上を念頭に置いて、万一に備えた対策をとるとすると、例えば、「会社にとって重要な経歴については、入社の際、嘘がないことの念書を取り付けておく」といったことが考えられるでしょう。

当事務所では、労使間の課題や就業規則の作成などについてもご相談をお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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