公開日:2021.02.02 最終更新日:2022.06.15
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仮差押えとは|確実な債権回収のために|弁護士が解説

【本記事の監修】 福岡の弁護士 弁護士法人桑原法律事務所 弁護士 桑原貴洋 (代表/福岡オフィス所長)
- 保有資格: 弁護士・MBA(経営学修士)・税理士・家族信託専門士
- 略歴: 1998年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。
日本弁護士連合会 理事、九州弁護士会連合会 理事、佐賀県弁護士会 会長などを歴任。
目次CONTENTS
仮差押えとは、民事保全手続きのひとつで、金銭債権の強制執行を保全することを目的とする手続きです。
強制的に債権回収を行うには時間がかかる
債務者が支払いを拒んでいる場合に、強制的に債権回収するためには、訴訟手続で勝訴判決を取得した上で、強制執行手続を行わなければなりません。
しかし、訴訟から強制執行まで、それなりに時間がかかることが通常です。
さらに、手続き中に債務者の財産状況が悪化したり、債務者が財産を処分したりして、最終的に債権の回収ができない事態に陥ることがあります。
このような不都合を回避するために、仮差押え等の保全手続きが存在します。
仮差押え:自由に財産の処分をすることができなくなる
例えば、債務者の不動産や債務者の預金債権等を対象に仮差押えをおこないます。
仮差押えされると、債務者は、自由に財産の処分をすることができません。
仮差押えの大きな要件は、1.被保全権利の存在、2.保全の必要性の存在の2つです。
仮差押えの要件1. 被保全権利の存在
債権者の主張する「保全すべき権利又は権利関係」(民事保全法13条)のことをいいます。
債権者が債務者に対し、“債権をもっていること”を明らかにしなければなりません。
仮差押えの要件2. 保全の必要性
債務者の財産の減少により金銭債権の強制執行が不能または著しく困難になるおそれのあることをいいます(民事保全法20条1項)。
たとえば、債務者が自身の財産を浪費したり、隠したりすることなどです。
債務者がこのような行為に及ぶことを明らかにしなければなりません。
仮差押えを行うには担保金が必要
債権者は、仮差押えをおこなう際に、通常、担保金を納付する必要があります。
担保金はケースバイケースですが、債権額の2、3割程度は求められることが多いようです。
仮差押えを行うことが適切なのか、仮差押えが認められるのか等については、専門的な判断を必要としますので、仮差押えを検討される際には、弁護士にご相談ください。
取引先が商品代金を支払ってくれない場合はどうする?
「取引先に商品を納入したのに代金を支払ってくれない」というときは、どうすればよいのでしょうか。
債権回収には様々な法律問題が潜んでいます。
1.契約の内容に争いがある場合
契約書を作成していない場合、「こんな金額とは聞いてない」「こんな商品は注文していない」などと後日契約内容で争いになることがあります。
このような場合に備えて、契約書は必ず作成しましょう。
当事者のみで作成した契約書では、そもそも契約の成立要件を欠くような契約書も散見されますので、必ず弁護士に作成やチェックを依頼しましょう。
また、このようなケースを放置してしまうと、契約内容に関する証拠(注文のメールなど)が徐々に散逸する可能性がありますので、注意が必要です。
2.相手方(取引先)に資力がない場合
取引先に資力がなく、支払期限が過ぎても「お金がないから代金が支払えない」という場合は、すぐに契約を解除し、商品を返してもらいましょう。
仮に、商品を第三者に転売してしまったという場合には、転売代金債権を譲渡してもらう(代物弁済)という方法や、転売代金債権を差し押さえるという方法があります。
このようなケースを放置してしまうと、取引先が破産してしまうといったリスクもありますので、早めの対策をおすすめいたします。
債権回収については弁護士にご相談ください
債権回収は非常に難しい問題です。
少し滞っても「もうすぐ支払ってくれるだろう」と考えてしまうのはリスクをはらんでいます。
取引先の支払いが少しでも滞ったら、お早めに弁護士にご相談ください。それが、回収の一番の近道となります。
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