公開日:2022.04.05
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カフェ閉店の危機 | ゼロゼロ融資、返済リスケできる? | 弁護士が解説
【本記事の監修】 福岡の弁護士 弁護士法人桑原法律事務所 弁護士 桑原貴洋 (代表/福岡オフィス所長)
- 保有資格: 弁護士・MBA(経営学修士)・税理士・家族信託専門士
- 略歴: 1998年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。
日本弁護士連合会 理事、九州弁護士会連合会 理事、佐賀県弁護士会 会長などを歴任。
目次CONTENTS
コロナ禍で売り上げが落ち込んだ飲食店は多いでしょう。ウクライナ情勢による原油高や原材料の高騰も追い打ちをかけます。融資の返済も始まっています。先が見えない現状で、どう収益を上げ、経営を立て直したらよいのでしょうか。福岡・佐賀で中小企業などの顧問を100社以上、務める弁護士法人 桑原法律事務所が解説します。
Q.夫婦で脱サラし、佐賀市内でカフェを営んでいます。3号店まで店舗を増やしたのですが、コロナ禍で売上が激減しました。2020年に「ゼロゼロ融資」で借りた1,800万円の返済も始まります。どうすればよいでしょうか。お店は閉じたくありません。 |
ゼロゼロ融資とは:実質、無利子・無担保
「ゼロ・ゼロ融資」は新型コロナ禍初期の2020年、スタートしました。中小・零細業者に対し、金融機関が実質、無利子・無担保で融資する制度です。
融資額は2021年末で42兆円にものぼっています。
2年を超える長期化は想定外だったため、返済の猶予期間が1~2年で設定されている場合が多く、すでに4割ほどの事業者が元本の返済を始めているとみられています。
融資で倒産や廃業は免れていた事業者にとって、返済スタートによる息切れが懸念されています。
Q.返済の猶予は可能ですか?
A.可能です。
金融庁は金融機関に対して再三、事業者の資金繰りを支援するよう柔軟な対応を求めています。
国から金融機関への主な要請は下記です。
- 返済のリスケを事前に相談されたら、申し込みを断念させるような対応をしない
- リスケや条件の変更について、金融機関側から積極的に提案する
- 据置の延長をためらう事業者には、返済する期間の延長も提案する
弁護士は返済計画の策定などのお手伝いをはじめ、金融機関との協議への同席も可能です。
Q.このほかに支援策はありませんか?
A.たとえば「事業再構築補助金」「事業復活支援金」「小規模事業者持続化補助金」などの補助金や給付金を活用するという方法があります。
国は2022年3月、「中小企業活性化パッケージ」として支援策を打ち出しました。概要は下記です。
資金繰りの支援を継続
- セーフティネット保証4号:2022年3月1日から6月1日に延長
- ゼロゼロ融資:2022年6月末まで延長、運転資金の返済期間は15年から20年に延長
事業再構築補助金(第6回以降)に「回復・再生応援」枠
新事業などに取り組む中小企業に向けた「事業再構築補助金」(条件により上限100万円~1億円)は2022年、3回ほどの募集が見込まれています。
本記事の公開日現在、第6回が公募中で、締め切りは2022年6月30日となっています。
新たな「回復・再生応援」枠(上限500万円~1,500万円)では、公的機関から再生計画について支援を受けている業者(再生事業者)が優先されます。
事業復活支援金:最大250万円、申し込み2022年6月17日まで
国(中小企業庁)の「事業復活支援金」は2022年1月、スタートしました。2022年5月31日が申請の締め切りでしたが、6月17日までに延長されました。申請に必要な「申請IDの発行」は5月31日までです。
対象はコロナの影響で売上が「30%以上減った」中小の法人(資本金10億円以下、会社以外の法人も対象)・個人事業主です。
売り上げが50%以上、減少した中小の法人は上限250万円、個人事業主は50万円が支給されます。
申請:「一時支援金」「月次支援金」の受給あれば簡単
事業復活支援金サイトの「マイページ」に登録して、ウェブ申請するのが原則です。法人や個人事業主が国への申請に使う「GビズID」はいりません。
コロナ禍で売上が50%以上、減った事業者を対象に支給された「一時支援金」「月次支援金」をもらっていれば簡単に申請できます。
IDは一時支援金、月次支援金のものが使えます。不正がないかどうかの「事前確認」もいりません。必要なのは以下の書類などです。
- 対象月(売上が減った月)の帳簿書類(売上台帳、請求書、領収書など)
- 確定申告書類の控え
- 宣誓・同意書:こちらからダウンロードして署名します。
自分でやるのが難しければ、各都道府県に設けられた「申請サポート会場」で手伝ってもらえます。
「一時支援金」「月次支援金」を受けていないと「事前確認」が必要
「一時支援金」「月次支援金」を受けていない場合、TV会議や電話、対面での「事前確認」を受ける必要があります。
不正がないかチェックするためです。事前確認をするのは、税理士や行政書士、銀行、商工会議所といった「登録確認機関」で、自身で選べます。
もしお世話になっている税理士や融資先の銀行が「登録確認機関」であれば、お願いするのがよいでしょう。帳簿の確認がなくなり、申請に必要な書類も減ります。
福岡市は申請サポートの費用支給も:2022年6月末まで
福岡市の事業者であれば、事業再構築補助金や事業復活支援金など、申請のためのサポート費用を支給してもらえます。
手続きを行政書士や社会保険労務士に頼んだ場合、報酬の一部(上限5~10万円)が支給されます。
佐賀県DXフラッグシップモデル創出事業費補助金:2022年5月13日まで(小売・飲食業)
佐賀県ではデジタル化の取り組みに対して、飲食店や小売業者に最大1,000万円(小売業者は3,000万円)を補助します。審査のうえ「飲食店・小売でそれぞれ1~2業者」が選ばれます。申請にあたりプレゼンや書類を作りこむ必要があります。
- 対象:佐賀県内に本社・本店のある飲食業・小売業(個人事業主は除く)
- 補助の上限:飲食店は1,000万円、小売は3,000万円
- 補助率:かかった経費の2/3以内
佐賀県のDXフラッグシップモデル創出事業費補助金について 詳しくはこちら
当事務所は国の「経営革新等支援機関」として認定され、経営の相談にも乗っています。
「再生計画を立てたいがどうすればいいか分からない」「客からのクレームに困っている」「業務転換したいがテナントの大家が反対している」などといった悩みがあれば、ぜひ弁護士に相談ください。
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※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。
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