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LEGAL COLUMN

法律コラム

公開日:2021.12.21 最終更新日:2022.08.25

CASE

  • 刑事事件

盗撮の刑罰とは|懲役刑になることはある?

目次CONTENTS

現在、スマートフォンの普及により、誰でもどこでも画像が撮影できるようになりました。スマートフォンを持ちながら歩いていても、誰も違和感を覚えない時代になっています。そのような現代の状況から、盗撮行為は昔と比べて容易になり、発生しやすい犯罪といえるでしょう。

盗撮をするとどのような罪となり、どのような刑罰が科されるのでしょうか。初犯とそうでない場合の違いはあるのでしょうか。弁護士が解説します。

各法令における盗撮の定義と罰則

刑法は、殺人、強盗、窃盗などの犯罪については規定していますが、盗撮については規定していません。 盗撮とは何か、具体的に知るためには、刑法以外の法令を確認する必要があります。

盗撮を取り締まる法令は、主に以下の3つの法令です。

1. 迷惑行為防止条例
2. 軽犯罪法
3. 児童ポルノ禁止法

各法令では、どのような罰則が規定されているのでしょうか。以下で、順に見ていきましょう。

1.各都道府県の迷惑防止条例

盗撮については、基本的には、各都道府県が定める迷惑行為防止条例で禁止されており、盗撮とはどのような行為かも定義されています。

福岡県迷惑行為防止条例では、簡単に言うと、公共の場所で他人の身体や下着を撮影する行為を、盗撮として取り締まっています。ここで注意が必要なのは、実際に撮影する行為だけではなく、写真機等を設置し、又は他人の身体に向ける行為も盗撮行為として規制されているという点です。

福岡県には、「福岡県迷惑行為防止条例」があります。

福岡県迷惑行為防止条例では、簡単に言うと、「公共の場所で、他人の身体や下着を撮影する行為」を、盗撮として取り締まっています。駅構内、ショッピングモールやコンビニなどの店舗内、電車やバスなどの公共交通機関内などの公共の場所で盗撮が行われた場合には、迷惑防止条例違反になります。

ここで注意が必要なのは、実際に撮影する行為だけではなく、写真機等を設置し、または他人の身体に向ける行為も、盗撮行為として規制されているという点です。

盗撮行為については、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」、常習として行った場合には、「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」と定められています。盗撮を繰り返し、複数前科がある場合などには、常習となる可能性が高くなると考えられます。

また、佐賀県には「佐賀県迷惑行為防止条例」があります。盗撮行為については、「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」、常習として行った場合には、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」と定められています。

2.軽犯罪法

軽犯罪法においても、盗撮とはどのような行為かが定義されています。各都道府県の迷惑行為防止条例違反に該当しない場合は、軽犯罪法違反に該当するか否かが問題になります。

軽犯罪法1条23号
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
二十三  正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者

つまり、「人の住居、浴場、更衣場、便所、その他人が通常衣服を着けないでいるような場所」において、写真を撮影したような場合には、軽犯罪法違反になります。

迷惑行為防止条例が「公共の場所」での行為を規制しているのに対し、軽犯罪法は「公共の場所」ではない場所を規制の対象にしています。例えば、ビル内の更衣室やトイレ、マンションの一室など、公共の場所ではない場所で盗撮が行われた場合には、軽犯罪法違反になります。

軽犯罪法では、盗撮を行った場合の罰則は、「拘留または科料」とされています。「拘留」とは、1日以上30日未満という期間での身柄拘束をいい、「科料」とは、1000円以上1万円未満の金銭徴収をいいます。

いずれも迷惑防止条例違反と比較したら軽い刑罰ではありますが、拘留の場合は30日未満という身柄拘束を受ける場合もありますので、非常に大きな影響が生じると考えられます。

3.児童ポルノ規制法

児童ポルノ禁止法(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律)においても、盗撮がどのような行為かが定義されています。

関連するのは、児童ポルノ禁止法第2条と第7条です。簡単にいえば、18歳に満たない者の裸体を撮影するような行為を、盗撮として定義しています。

児童ポルノ規制法に違反する盗撮を行った場合の罰則は、「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」とされています。主な法令のうち、最も重い刑罰が規定されています。

以上のとおり、盗撮といっても様々な態様があり、各種法令で規制されています。判断が難しい場合もありますので、お早めに弁護士にご相談いただくことをおすすめします。

住居(建造物)侵入罪に該当する可能性も

盗撮を行った場所によっては、住居侵入罪ないし建造物侵入罪となる可能性があります。

トイレ等に入って盗撮した場合には、その入る行為自体が建造物侵入罪(刑法130条)に該当する可能性もあります。建造物侵入罪の法定刑は、「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」と定められています。

刑法130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

盗撮における罰金の相場とは

各法令には、罰金もあれば科料もあり、罰金の上限額も異なります。したがって、盗撮事件すべてについて罰金の相場を算出するのは困難であると考えられます。

もっとも、各都道府県の迷惑行為防止条例に違反した場合の罰金は、20万円~30万円程度が多いと思われます。

盗撮事件の処分

初犯の場合は、各都道府県の迷惑行為防止条例か軽犯罪法を前提に処分が決まっていくこととなります。

一方、初犯ではなく何度も繰り返しているような場合は、「常習として」行っていると判断される可能性があり、迷惑行為防止条例で適用される条文も異なるものとなります。罰則も重く定められています

初犯ではない場合、検察官の処分に対する判断も厳しいものとなるのが一般的ですので、初犯であれば不起訴や罰金となるものでも、懲役刑となる可能性があります。

盗撮事件の刑罰

盗撮の証拠があり、被害者が処罰を求めている場合、不起訴となることは考えにくく、罰金刑や懲役刑となることが考えられます。

罰金刑や懲役刑の刑罰を受けると、それは前科となります

事案の悪質性や常習性等によりますが、一般的には、初犯であればいきなり正式裁判となるのではなく、まずは略式起訴となり、罰金刑が科される可能性が高いかと思われます。

一方で、被害者と示談ができれば、不起訴となる可能性もあります。不起訴となれば、前科がつくことはありません。

しかし、一般的に被害者と加害者が直接交渉することは困難ですので、被害者に対して謝罪をしたい、慰謝料を支払うなどして被害弁償をしたいという場合は、弁護士に依頼されるべきかと思われます。

さいごに:更生を目指す方へ|二度と盗撮をしないために

当事務所が刑事弁護においてもっとも重視していることの一つに、被疑者(被告人)の更生があります。

犯罪を行った被疑者が、今後、二度と犯罪を行わないようにすることは、刑事弁護活動においても非常に重要であると考えています。なぜなら、被疑者が犯罪を行わなければ、新たな被害者が生まれることもなく、平和な社会を築けることになるからです。

しかし、盗撮を含む性犯罪は、再び犯罪を行う可能性が高いことが特徴だと言われています。再び盗撮を犯してしまう理由は何でしょうか。

理由1.ストレス発散

現代社会では、社会生活上、様々なストレスを受ける場合があります。職場や学校など、家庭の外だけではなく、家庭内でもストレスを受ける人は多いと言われています。
性犯罪者は、このような様々なストレスの発散として、盗撮を行う場合があるようです。そのようなケースでは、ストレスを受け続ける限り、盗撮を繰り返してしまう可能性があります。

理由2.スリルや成功体験

他人から見つからないように盗撮を行うこと自体にスリルを感じ、成功することによって、また味わいたいと思ってしまう。このような心理状態を有する性犯罪者もいるようです。

理由3.精神疾患

何度逮捕され、刑罰を受けても、また盗撮を繰り返す。そのような場合は、精神疾患である可能性もあります。様々な依存症と同様に、本人や家族など周囲の方々だけでは、立ち直ることが難しいと思われます。

再び盗撮を行わないために

それでは、再び盗撮を行わないためには、どうすればよいのでしょうか。

  • カウンセリング
    専門医や臨床心理士とカウンセリングを行い、自身の悩みを素直に打ち明ける等して、認知や思考の改善をします。また、被疑者のご家族についてもカウンセリングを受けたほうがよい場合がありますので、一度ご相談されたほうがよいでしょう。
  • 自助グループ
    自助グループでは、グループミーティングを行い、同じような境遇にある他人の話を聞き、自身の考えや経験を話すことにより、自身の誤った認識を正し、被害者の心情を理解することにつながります。
    グループミーティング以外の手法によっても認知の歪みが治せるよう、様々なプログラムが提供されます。
  • 治療
    盗撮が精神疾患によるものである場合には、専門の治療機関で治療を受けることにより、誤った認知を正し、改善する必要があります。治療機関では、薬物療法も行われる場合があります。

弁護士は、上記の治療等の行為はできません。しかし、単に刑事弁護を行うだけではなく、更生に向けた活動の手助けをすることは可能です。更生を目指す方は、早めに弁護士にご相談いただくことをおすすめします。

盗撮事件においては、被害者と示談ができた場合には、不起訴になるケースもあります。盗撮を行ってしまい、今後どうすべきか悩んでいる場合には、お早めに弁護士にご相談ください。弁護士に対する相談については守秘義務があり、外部に盗撮の事実が漏れる心配はありませんので、安心してご相談ください。