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LEGAL COLUMN

法律コラム

公開日:2021.12.21 最終更新日:2022.08.25

CASE

  • 法律コラム
  • 刑事事件

盗撮の証拠とは|証拠があると必ず起訴される?

目次CONTENTS

盗撮の証拠には、どのようなものがあるでしょうか。弁護士が解説いたします。

盗撮の証拠1:盗撮した写真や動画

まず、盗撮した写真や動画が考えられます。
盗撮した写真や動画に、被害者が写っていた場合、重要な証拠となります。その人が盗撮していたのでなければ、被害者が写っている写真や動画が保存されていることは考え難いためです。

盗撮の証拠2:防犯カメラの映像

次に防犯カメラの映像が考えられます。
防犯カメラに、被疑者が被害者の後ろをつけ回していた映像や、被疑者がスマートフォンや携帯電話等の録画機器を被害者に差し入れている映像があれば、重要な証拠となりえます。

盗撮の証拠3:被害者や目撃者の証言

また、被害者や目撃者の証言も考えられます。

被害者や目撃者が法廷で虚偽の証言をした場合、偽証罪に問われる可能性があるので、利害関係のない被害者や目撃者が虚偽の証言をする可能性は低いと考えられています。そのため、被害者や目撃者の証言は信用性が高く、重要な証拠となる可能性が高いと考えられます。

もっとも、人によるものなので、見間違い、記憶違い、言い間違いなどの可能性はあり得るかと思われます。客観的な証拠との整合性も問題となりますので、1、2に比べれば、重要性は低いと考えられるかと思います。

盗撮の証拠4:被疑者本人の供述

被疑者本人の供述も考えられます。

被疑者本人が盗撮を行ったと述べた場合には、その供述も証拠となります。

もっとも、刑事訴訟法の規定には、被疑者の自白のみでは有罪とすることはできないとの規定がありますので、捜査機関は被疑者の自白以外にも証拠の取得を行うことになります。

Q.証拠がある場合、必ず起訴される?

上記のような盗撮の証拠がある場合、必ず起訴されることになるのでしょうか。

検察官は、起訴するかどうかを決定する権限を有しています。起訴をすれば有罪であることが確実な場合であっても、起訴しないとの判断をすることもできます。

起訴しないとの判断をされるには、被害者と示談を交わせているかという事情も大きな考慮要素となります。

一般的に、盗撮事件の被害者の方は、被疑者との直接交渉を望まないことが多いですが、そのような被害者の方でも、弁護士との交渉であれば応じてもらえることがあります。したがって、盗撮事件で不起訴を目指す場合は、弁護士に被害者との示談について依頼されることをおすすめいたします。

Q.盗撮に失敗しても罪に問われる?

「盗撮をしようとして、コンビニのレジ前に並んでいた女性のスカートの中にスマートフォンを差し入れたが、カメラを起動していなかったため撮影することができなかった」といった場合にも、盗撮として罪に問われるのでしょうか。

もし、上記のような場合で、スカートの中を撮影したとすれば、各県の迷惑行為防止条例違反になり、罪に問われることになります。

もっとも、結果としてスカートの中を撮影できていませんので、このような場合も罪に問われるのかが問題になります。この点、福岡県迷惑行為防止条例では、撮影をしようとして他人の身体にカメラを向ける行為についても処罰されます

したがって、カメラで撮影できなかった場合でも罪に問われる可能性があります

盗撮画像を消しても逮捕される?

それでは、「盗撮がばれたのですぐ画像を削除した」という場合は、逮捕されたり有罪となったりするのでしょうか。

この点、盗撮の証拠は盗撮画像だけではなく、防犯カメラの映像や被害者や目撃者の証言等も証拠となります。

盗撮画像以外でも証拠があれば、逮捕されたり、有罪となる可能性があります。また、近年の捜査においては、デジタルフォレンジックが進んでおり、盗撮画像を削除したとしても、画像が復元される可能性があります。

実際に盗撮を行い、それが発覚したのであれば、早期に被害者の方と示談についての協議を行うべきでしょう。示談できれば、刑事事件とならない可能性がありますし、刑事事件となったとしても不起訴となり処罰を免れる可能性もあります。

Q.盗撮が見つかり携帯電話を押収されました(余罪の範囲について)

盗撮が見つかり、携帯電話を押収されました。携帯電話の中には、今まで撮った多数の女性についての盗撮画像が入っています。全て立件されてしまうのでしょうか。

A. 検察官が起訴するためには被害者の特定が必要となります。不特定の女性を盗撮したのであれば、おそらく被害者の特定ができないと考えられますので、起訴することはできないのではないかと思われます。

もっとも、多数の女性の盗撮画像があるということは、常習的に盗撮をしていたことの証拠になると考えられます。常習的に盗撮を行っていたということであれば、当然そうでない場合に比べて重い処分になると想定されます。

さいごに:更生を目指す方へ|二度と盗撮をしないために

当事務所が刑事弁護においてもっとも重視していることの一つに、被疑者(被告人)の更生があります。

犯罪を行った被疑者が、今後、二度と犯罪を行わないようにすることは、刑事弁護活動においても非常に重要であると考えています。なぜなら、被疑者が犯罪を行わなければ、新たな被害者が生まれることもなく、平和な社会を築けることになるからです。

しかし、盗撮を含む性犯罪は、再び犯罪を行う可能性が高いことが特徴だと言われています。再び盗撮を犯してしまう理由は何でしょうか。

理由1.ストレス発散

現代社会では、社会生活上、様々なストレスを受ける場合があります。職場や学校など、家庭の外だけではなく、家庭内でもストレスを受ける人は多いと言われています。
性犯罪者は、このような様々なストレスの発散として、盗撮を行う場合があるようです。そのようなケースでは、ストレスを受け続ける限り、盗撮を繰り返してしまう可能性があります。

理由2.スリルや成功体験

他人から見つからないように盗撮を行うこと自体にスリルを感じ、成功することによって、また味わいたいと思ってしまう。このような心理状態を有する性犯罪者もいるようです。

理由3.精神疾患

何度逮捕され、刑罰を受けても、また盗撮を繰り返す。そのような場合は、精神疾患である可能性もあります。様々な依存症と同様に、本人や家族など周囲の方々だけでは、立ち直ることが難しいと思われます。

再び盗撮を行わないために

それでは、再び盗撮を行わないためには、どうすればよいのでしょうか。

  • カウンセリング
    専門医や臨床心理士とカウンセリングを行い、自身の悩みを素直に打ち明ける等して、認知や思考の改善をします。また、被疑者のご家族についてもカウンセリングを受けたほうがよい場合がありますので、一度ご相談されたほうがよいでしょう。
  • 自助グループ
    自助グループでは、グループミーティングを行い、同じような境遇にある他人の話を聞き、自身の考えや経験を話すことにより、自身の誤った認識を正し、被害者の心情を理解することにつながります。
    グループミーティング以外の手法によっても認知の歪みが治せるよう、様々なプログラムが提供されます。
  • 治療
    盗撮が精神疾患によるものである場合には、専門の治療機関で治療を受けることにより、誤った認知を正し、改善する必要があります。治療機関では、薬物療法も行われる場合があります。

弁護士は、上記の治療等の行為はできません。しかし、単に刑事弁護を行うだけではなく、更生に向けた活動の手助けをすることは可能です。更生を目指す方は、早めに弁護士にご相談いただくことをおすすめします。

盗撮を行ってしまい、今後どうすべきか悩んでいる場合には、まずは弁護士にご相談ください。弁護士に対する相談については守秘義務があり、外部に盗撮の事実が漏れる心配はありませんので、安心してご相談ください。

※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。