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法律コラム

公開日:2018.01.09 最終更新日:2022.08.25

CASE

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被疑者・被告人の権利|黙秘権・弁護人依頼権・接見交通権

目次CONTENTS

被疑者・被告人の権利1:黙秘権

被疑者・被告人の権利として、黙秘権(供述拒否権)があります。

憲法38条1項は、「何人も、自己に不利益な供述を強要されない」と定めており、刑事訴訟法311条1項は、「被告人は、終始沈黙し、又は個々の質問に対し、供述を拒むことができる」と定めています。

被疑者については、黙秘権を認める明文の規定はありませんが、被告人と同様に黙秘権が認められていると解されています(刑事訴訟法198条2項)

刑事訴訟法198条(1項2項のみ抜粋)
1項 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。但し、被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。
2項 前項の取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。

黙秘権は、被疑者・被告人が、自己の意思に反して自白をさせられ、不当な処罰がなされたりすることのないよう、認められたものです。

もっとも、実際の取調べでは、捜査官が被疑者を怒鳴りつけて脅し、自白させようとすることは少なくありません。このような場合、弁護人としては抗議文を送付するなどして、黙秘権が侵害されることのないよう、働きかけをすることになります。

被疑者・被告人の権利2:弁護人依頼権

被疑者・被告人には、弁護人依頼権が認められています。

刑事訴訟法30条1項
被告人又は被疑者は、何時でも弁護人を選任することができる。

憲法上、弁護人依頼権が認められているのは、刑事被告人のみですが(憲法37条3項)、刑事訴訟法により、被疑者にも弁護人依頼権が認められています。

被疑者・被告人は、検察官から捜査を受けたり、起訴されたりする立場にありますが、強大な権限を有する検察官に対して、法律の素人である被疑者・被告人は、一般的に弱い立場にあります。そこで、被疑者・被告人が弁護人に依頼し、その補助を受けることにより、検察官と対等な立場に立たせ、不当な人権侵害を防ぐ必要があるのです。

そのための権利が、弁護人依頼権です。

弁護人は、被疑者・被告人と接見し、黙秘権等の権利が保障されていることを伝え、身柄拘束に対する不服を申し立て、公判で意見を述べるなどの活動を行います。また、被疑者・被告人の生活環境を整え、勤務先を確保するなど、被疑者・被告人の更生に向けた活動も行います。

被疑者・被告人にとって、弁護人を選任することには、非常に大きなメリットがあるのです。

被疑者・被告人の権利3:接見交通権

身柄拘束を受けている被疑者・被告人には,接見交通権が認められています。

刑事訴訟法39条1項
身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者(弁護士でない者にあつては、第31条第2項の許可があつた後に限る。)と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。

憲法34条は,弁護人依頼権を保障していますが,弁護人に依頼をするためには,被疑者・被告人が弁護人と直接会って話をできなければなりません。

したがって,弁護人との接見交通権は,弁護人依頼権を実質的に保障するものであり,刑事手続上最も重要な基本的権利に属するものとされています。

弁護人側からみても,接見交通権が侵害されてしまうと,被疑者に対して適切な弁護活動を行うことができないことから,被疑者・被告人のみならず,弁護人にとっても極めて重要な権利なのです。

もっとも,被疑者が捜査の立会いのため事件現場に外出しているなど,接見できない場合もあります。

弁護人としては,緊急に接見を希望しても,実際にはできないケースもありますので,事前に留置施設に確認が必要ですし,留置施設が遠方の場合もありますので,接見はスケジュールを調整しながら計画的に行う必要があります。

※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。