公開日:2022.09.07
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社会保険の適用拡大|中小企業がとるべき対策は?
【本記事の監修】 福岡の弁護士 弁護士法人桑原法律事務所 弁護士 桑原貴洋 (代表/福岡オフィス所長)
- 保有資格: 弁護士・MBA(経営学修士)・税理士・家族信託専門士
- 略歴: 1998年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。
日本弁護士連合会 理事、九州弁護士会連合会 理事、佐賀県弁護士会 会長などを歴任。
目次CONTENTS
年金制度改正法が2022年4月に施行され、社会保険(厚生年金、健康保険)の適用者が広がりました。改正により、2022年10月から従業員が常時100人超、さらに2024年10月からは従業員が常時50人超の事業所が、短時間労働者を社会保険の適用対象としなければなりません。
社会保険とは
「社会保険」とは、厚生年金保険と健康保険のふたつを意味します。
加入するメリットは主に下記の通りです。
- 原則として65歳から受け取る年金が増えます。基礎年金に、厚生年金が上乗せになるからです。
- 病気や出産で仕事を休むと「傷病手当金」や「出産手当金」として、賃金の一部が健康保険から支払われるようになります。
加入によるデメリットは、厚生年金保険料と健康保険料の支払いによる負担増です。
とりわけ配偶者が社会保険に入っており、「健康保険の被扶養者」「年金の第3号被保険者」の人、すなわち扶養の範囲内(年収130万円)で働いている人は、負担が重くなることがあります。
法改正で何が変わる?
小さい会社でもパート・アルバイトを社会保険に入れなくてはならない
改正により、2022年10月から従業員が常時100人を超える事業所が、さらに2024年10月からは従業員が常時50人を超える事業所が、短時間労働者を社会保険の適用対象としなければなりません。
ここでいう「従業員」とは、適用拡大以前の通常の被保険者(フルタイムの労働者、労働時間がフルタイムの4分の3以上である労働者)のことです。
また、強制適用の対象となる「従業員が常時5人以上いる個人事業所」に、士業が加わります。
加入対象となる従業員の要件は、下記のすべてに当てはまる方です。
- 賃金: 月額賃金が8.8万円以上(賞与や残業代などは含みません)
- 労働時間: 週の所定労働時間が20時間以上
- 雇用期間: 2か月を超える雇用見込みがある(2022年10月から)
- 学生ではない: ただし休学中や夜間学生は加入対象です
企業がとるべき対応は?
社会保険適用拡大の対象となる企業がとるべき対応は、下記などです。
- 加入対象者の有無を確認
新たな加入対象者がいるかどうかを確認しましょう。 - 社内への周知
新たに加入対象となるパート・アルバイト従業員に対し、社会保険の加入対象であること、加入のメリットなどについて知らせましょう。 - 説明会や個人面談など
必要に応じて、従業員への説明会や個人面談を行いましょう。 - 被保険者資格取得届の作成・提出
2022年10月5日までに、厚生年金保険の「被保険者資格取得届」を届け出ましょう。
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※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。