公開日:2018.12.10 最終更新日:2021.10.01
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推定相続人の廃除とは|対象となる推定相続人、廃除事由、手続きについて解説
【本記事の監修】 福岡の弁護士 弁護士法人桑原法律事務所 弁護士 桑原貴洋 (代表/福岡オフィス所長)
- 保有資格: 弁護士・MBA(経営学修士)・税理士・家族信託専門士
- 略歴: 1998年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。
日本弁護士連合会 理事、九州弁護士会連合会 理事、佐賀県弁護士会 会長などを歴任。
目次CONTENTS
相続欠格のほかに、相続人となることができた人が相続の資格(立場)を失ってしまうケースとして、「推定相続人の廃除」という制度があります。推定相続人とは、現時点で相続が発生した場合に、相続人になりうる人のことをいいます。
なお、相続欠格と異なるのは、被相続人が生前に(または遺言で)推定相続人を廃除するよう家庭裁判所に審判を求める必要があります。
廃除の対象となる推定相続人
廃除の対象となる推定相続人は、「遺留分」を有する者に限られますので、兄弟姉妹以外の相続人(配偶者、親、子)に限られます。
廃除事由:廃除が認められる場合
廃除が認められるのは、「被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他著しい非行があった」場合とされています。つまり、推定相続人の廃除事由は、「被相続人への虐待」、「被相続人への重大な侮辱」、「著しい非行」に該当するような場合をいいます。
なお、「虐待」「重大な侮辱」「著しい非行」にあたるかどうかは、客観的な根拠に基づいて判断されることになります。たとえば、一時的に激昂して侮辱的な発言をしたからといって、当然に廃除事由にあたるというわけではなく、推定相続人の行為によって被相続人との信頼関係が破綻しているといえるほどの事情が必要となります。
例えば、過去の裁判所の決定例として、一時の激情に駆られて非難の言葉があったとしても、廃除にはあたらない、としたものもあります。
廃除の手続
被相続人は、遺留分を有する推定相続人を廃除しようとする場合は、家庭裁判所にその推定相続人の廃除を請求することになります。
また、遺言で推定相続人を廃除する意思を表示することもでき、その場合は、遺言執行者がその推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することになります。
※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。