公開日:2020.10.08
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従業員の昼休みの外出を許可制にできる?
【本記事の監修】 弁護士法人桑原法律事務所 弁護士 桑原貴洋 (代表/福岡オフィス所長)
- 保有資格: 弁護士・MBA(経営学修士)・税理士・家族信託専門士
- 略歴: 1998年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。
日本弁護士連合会 理事、九州弁護士会連合会 理事、佐賀県弁護士会 会長などを歴任。
目次CONTENTS
Q.従業員の昼休みの外出を許可制にしても問題ないでしょうか?
午後からの仕事を時間どおりにスタートできるよう、「昼休みに会社の外に出る場合は、事前に会社の許可を得なければならない」という規則を作ろうと思っていますが、問題でしょうか? |
A. 許可制としてしまうと、賃金支払義務が発生してしまう可能性があります。
法的な意味での休憩時間とは、労働から解放された時間のことを意味します。
賃金との関係でいえば、休憩時間と評価できれば、使用者はその時間に対して賃金を支払う必要はありません。一方で、休憩時間と評価できないようであれば、使用者はその時間に対して賃金を支払わなければなりません。
ご質問のケースでは、「会社の許可を得ないと会社の外に出ることができないという状況が、労働から解放された時間(=休憩時間)といえるのか?」という問題として捉えることができます。
この点、古くに出された行政解釈によれば、「このような外出許可制も会社内における自由な休憩が確保されているのであれば必ずしも違法にならない」とのことです。
しかしながら、学説は、この行政解釈に対し、概ね批判的な態度を取っています。論者によって理由は様々ですが、やはり、「会社の許可がないとどこにも行けないのは、労働から完全に解放されているとは評価し難い」のではないかと私としても思います。
結論:許可制にすると賃金支払義務が発生する可能性も
よって、ご質問のケースでは、許可制としてしまうと、思わぬところで賃金支払義務が発生してしまう可能性もあります。
「午後からの仕事が時間どおりにスタートできるように」という目的であれば、例えば、「所在確認を目的として、外出する際は届出制とする」とか、「午後の始業に遅刻した場合は懲戒処分(戒告、一定期間の減給等)を行う」など厳正な態度をもって臨み、二度と同じことが繰り返されないようにするといった対応をとることが無難であろうと思います。
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