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法律コラム

公開日:2022.10.13

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建設業の倒産(破産) | 注意点 | 弁護士が解説

目次CONTENTS

新型コロナウイルスや物価高などの影響により、建設業界の経営環境も悪化しています。建設業は請負契約あたりの債権額が大きく、工事を下請けに出すことも場合も多いため、破産すると取引先などに与える影響も大きくなる傾向にあります。設備工事や総合工事を営む法人が破産する場合の注意点や流れについて、福岡・佐賀の弁護士法人 桑原法律事務所の弁護士が解説します。

建設業の倒産(破産)|費用や注意点|弁護士が解説

建設業の破産の特徴とは

法人破産とは、債務超過や支払い不能になった会社が、裁判所の手続きを通じて、借金を法的に整理する清算手続きをいいます。

法人に財産がある場合は、裁判所により選ばれた破産管財人が財産を処分してお金に換え(換価)、債権者に配当するなどして会社を清算します。

建設業が破産する場合の特徴としては、以下のような点が挙げられます。

  • 仕掛工事がある場合がある
  • 注文者、下請業者、従業員など利害関係人が多い
  • 債権者に取引先(下請)が多く、かつ、1社あたりの債権額が大きい
  • 一つの建築請負契約あたりの債権額が大きいため、取引先1社あたりの債権額も高額になる

建設業の破産の特徴とは

建設業の破産の注意点①:仕掛工事

建設業の破産でとりわけ注意が必要なのは、「仕掛(しかかり)工事」への対応です。請負工事が未完成のまま請負人が破産をすると、破産手続きにおいてさまざまな処理や対応が必要となります。

建設業者は建設を請け負うことを業務とし、請負人として工事を完成させる法的義務を負っています。「もう経営は破たんしているが、工事が終わっていない」となると、未完成のまま工事が放置されるという結果を招きかねません。注文者には大きな不利益を与えかねませんし、下請業者などにも影響が及ぶ可能性があります。

仕掛中の工事はできるだけ完成させてから、破産手続きを開始させることが望ましいと言えます。

建設業の破産の注意点:仕掛工事

やむを得ず、仕掛中の請負工事を完了できないまま請負人が破産する場合は、破産手続きにおいて未完成の工事をどのように処理すべきかが問題となります。

裁判所に破産を申し立てる際には、現場や関係者が混乱しないよう、できるだけ早く破産手続開始決定が出るよう準備をし、破産管財人に以後の対応を委ねるようにしましょう。

破産管財人は、破産会社の財産について管理・処分の権利を有していますので、未完成の工事を続行するか否かについても、破産管財人が方針を決め、対応します。
なお、下請け会社に注文者と直接契約をしてもらい、工事を続行するといった調整がなされることが多いようです。

破産者が協力すべきこと:資料等の準備

建設業の破産|破産者が協力すべきこと:資料等の準備

仕掛工事の続行に関する元従業員や下請け業者との調整や、完成工事のアフターケアなど、破産手続きが順調に進むよう、破産者の協力が求められます。

破産者としては、仕掛工事の有無や内容、規模、完成の程度などを確認できる資料や情報をあらかじめ整理しておく必要があります。

  • 請負契約書
  • 下請業者との契約書
  • 工程表・計画書・施工図など
  • 見積書
  • 現場写真
  • 機材や資材の一覧
  • 仕掛工事の件数
  • 工事の進捗状況(どこまで工事が進んでいるか)
  • 代金の受取状況(どこまで代金を受け取っているのか)
  • 現場監督等の連絡先

建設業の破産の注意点②:建築工事現場の管理

建設業の破産の注意点:建築工事現場の管理

​現場にある資材や機材などについては、帰属を確定し、法人に帰属するものは破産手続きの中で換価売却します。また資材・機材の所在や種類など、在庫の管理をきちんと行う必要があります。

債権者が資材や機械の帰属を主張して返還を求めてきても、安易に応じることはせず、まずは弁護士に相談することをお勧めします。

建設業の破産の注意点③:前受金の処理

前受金を施主に返金すべきか否かは、請負契約の内容、出来高部分の評価、工事を履行するかどうかなどを踏まえて決まります。

工事がまだ開始されていない場合でも、債権者からの前受金の返金要求には安易に応じるべきではありません。

法人破産にかかる費用とは

建設業の破産:法人破産にかかる費用とは

法人破産をするには下記のような費用がかかります。

弁護士費用(当事務所の場合)

当事務所の場合、法人破産に関するご相談(初回30分)は無料です。

着手金は55万円からとなっています。

報酬金は原則としてありません。

弁護士費用について詳しくはこちら

予納金

予納金とは、裁判所に納める費用です。

法人の破産申立ての場合、裁判所に一定のお金を納める必要がございます。
額はケースバイケースですが、福岡地方裁判所の場合、少なくとも20万円~となっております。

手数料

ほかにも印紙代、官報公告予納金、郵送料などがかかります。

建設業の破産については弁護士にご相談を

建設業の破産においては、上述のとおり、仕掛工事の問題など、特に注意しなければならない点があります。法的な判断が必要になるケースも多いため、経営が立ち行かなくなりそうだと思ったら、まずはお早めに弁護士にご相談ください。

今後の見通しを立てながら、スムーズに破産手続きを進められるように一緒に準備をしていきましょう。

また、会社が債務超過になっても、ただちに破産が必要ということにはなりませんが、決断が必要なケースはあります。破産を選択すべきか、再建の道を選ぶべきかは、会社の状況に応じて適切に判断する必要がありますので、弁護士が会社の状況を整理した上で、最適な方法をご提案します。どのような対応をとるにせよ、早く対処すればするほど、良い選択肢の幅が広がります。

当事務所は、会社(法人)の破産手続きについて、無料相談(初回30分)を承っておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

 

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※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。